日常茶飯

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#76 
目次

蕎麦喰って

 暖かくなってきたので、ざる蕎麦(そば)が喰いたくなった。 近所の蕎麦屋は余り馴染みではない。 冬に一、二度きつね蕎麦を食べた程度の付き合いである。 店に這入ってみると、品書きに親子丼セットと云うのがあるので註文すると、 蕎麦は温かいのか、それとも冷たいのかと訊くから、冷たい方だと返事したけれど、 妙な訊き方をするなあと思った。 まさか、冷えたかけ蕎麦が出て来ることはないだろうが。

 丼と一緒に盛り蕎麦があらわれた。 蕎麦の上に山葵(わさび)を少しのせて、それを箸でつまみ上げツユにつけてはすする。 その食べている途中で、蕎麦湯です、と持ってくるから困った。 蕎麦湯を出すとは思わなかった。 と云うのは蕎麦つゆは、はじめから器に入れてきたからである。 浪波と注がれている訳ではないけれど、多目であるから、 その上に蕎麦湯を注いでも辛くて飲めたものではないだろう。 第一、そんなことをすれば身体に悪いに決まっている。 蕎麦湯を出すくらいなら、つゆ差しを用意する心遣いがほしいものだが、 馴染みでない店では無駄な抵抗である。

 でも、こう云う持て成しをする蕎麦屋は、はじめてではないから慌てることはない。 すべてを食べ終わり、飲みかけのお茶を飲み干した。 それから、茶碗につゆを適量注ぎ、それを蕎麦湯で割ればいいだけのことである。 一杯だけ飲んだが旨かった。
'07年05月15日

賢いプリンタとは

 一年前にプリンタを買い換えた。 ひとつだけ感心したのは、パソコンからプリンタの状態を確認できることである。 先日から印刷するたびに、インクが少なくなっている、と警告があらわれるようになった。 シアンのインクだけが極端に減っている絵もあらわれる。 詳細を表示させると、<新しいインクタンクを用意してください>と宣(のたま)う。 さっさと交換してくださいと云わないだけ、まともである。

 新しいインクタンクは用意したけれど、どのタイミングで交換することになるのだろう。 インクは少なくなっても、まだあるし、 めい一杯使い切って交換することが出来るように賢いだろうか。 で、もう少しインクを減らせてみよう。 と、デジカメの写真を二枚ほど印刷してみた。 途中で、シアンのインクが底をつくンじゃないかと期待しながら。

 でも、まだ残っている。 考えてみると、インクが少ないと云うだけで、どの程度かは知らないのである。 このまま使い続けると、やがてインクが無くなるそのときが来るに決まっているのである。 インクのかすれた用紙が出て来て、その後、パソコンの画面にインクを交換してください、と知らせが出るのか。 それじゃ旧態依然で面白くない。

 願わくば、印刷の途中で警告があらわれて、 シアンのインクタンクを交換してください。 今ならまにあいます。とかなんとか云って、印刷の残りがあります。 仕上げが済むまで暫くお待ち下さい。 そんな風だとインクに無駄がないのだがね。 最近のプリンタがどれほど利口なのか知らないが、これくらい進んでいれば云うことなし。 どうだろう。
'07年05月13日

熟成

 内田百閒の随筆に、「琥珀(こはく)」と云う小品がある。 <琥珀は松樹の脂(やに)が地中に埋もれて、何万年かの後に石になったものである、と云う事を学校で教わって、 私は家に帰ってきた>

 百閒は造り酒屋の一人っ子として生まれた。 いつでも倉の隅には松脂がころがっていた。 酒を樽に詰めて出荷するのに、詰め口を煮えた松脂を流して固めるのである。 少年は、学校で教わったことを確かめてみたい。 松脂を沸かしている倉男から茶碗に垂らして貰い、 人知れず、それを土の中に埋めて、琥珀になるのを待つのだが、 待ちきれずに掘り起こして仕舞う。

 ウヰスキーの原酒は無色透明で荒々しい味がする。 それが琥珀色になったのは偶然の産物で、それは18世紀のこと。 大英帝国議会はスコットランドの酒税を大幅に引き揚げたので、 シェリーの空樽にウヰスキーを詰めて山奥に隠し税金逃れをしたのがはじまり。 ウヰスキーは樽の中で熟成されて、琥珀色のまろやかな味に仕上がった。 爾来、オーク樽に詰めて熟成する。 ウヰスキーの名前の由来は<命の水>と云うらしいが、熟成して命に魂を与えたのが現在のウヰスキーなのか知ら。
'07年05月12日

洟と爆弾

 駅の本屋で小林信彦さんの『花と爆弾』(文春文庫)を買って帰宅した。 98年からはじまった「週刊文春」連載のエッセイが、一年ごとに一冊となる。 それをクロニクル(年代記)的エッセイと称してるのは小林さん自身である。 週刊誌のほうはみないから、文庫が出るまで4年待つ。 したがって、この本は2003年(平成十五年)の一年間。 私的には、この年は忘れられない出来事があって(ここに書くことは出来ないけれど)、 そんなことと重ねながら、この<クロニクル的エッセイ>を読んでいくのもわるくない。

 「桜の盛りに大雨が降ったとか、夏が夏らしくないまま秋になってしまった、とかいう エッセイは、エッセイの王道(?)ともいうべきもので、<花>の世界です。 本当は、こちらに専念すべきでしょう。
 しかし、世界はアメリカのイラク侵略をめぐって大きく揺れ動き、イラクの人たちが死に、 アメリカ兵の多くはヴェトナム戦争以来のノイローゼ状態です。 そういう<爆弾>の世界にも触れざるをえないので、書名は『花と爆弾』になりました」。

 ところで先日、鼻風邪をひいたはなしを書いた。 じつは、今でも引きずっています。 生活は普段通りだが、洟(はな)は出る、ときどき咳き込むと云う症状が続いている。 電車の中で咳き込むと、その音が凄い。 治るまで待つしかないが、けっこう疲れる。 嗅覚と味覚がおかしくなっているので、 何を食べても美味いとか不味いとか丸でわからない。 損な生活をしているなあ。 <洟と爆弾>みたいな生活が続いている。
'07年05月10日

季節感

 先日から冷房に当たることがある。 店にはいると冷房が効いていたりするし、電車の中も<弱冷房中>だったりする。 すでに夏日の日も何度かあった。 あしたは全国的に晴れの予報で、テレビで日中は気温がぐんぐん上がるでしょう、 と云っていた。

 きのうは二十四節気の一、立夏。 八十八夜から四日ほど経ち、「こどもの日」のあくる日あたりが立夏である。 とは云うものの夏の始まりじゃない。 元来、季節の区切りは実際の季節よりも一か月半くらいはやいようである。 気の早い季節感だ。

 いつの頃からかテレビは、<天気予報>とは云わないで<天気情報>と云うようになった。 <予報>が外れるとバツが悪いが、<情報>と云っておけば何とかなると思い付いたのか、どうだか知らない。 或いは、何でも流行を追いかけるのが好きなマスコミだから<情報>になったのか。 それなら、流行は廃(すた)るのもはやい。 事実、<情報>なんて言葉は、いまでは面白くも何ともない。 安っぽい言葉である。

 <天気情報>番組で、「あすは、全国的に晴れで、30℃以上になる真夏日のところもあるようです」、 何てことを云う。 ここまでは普段の<情報>である。 そこに相方が相づちを打つ。 「そうですよね。立夏ですからねェ」 と。 もう夏ですからねェ、と云わんばかりの無邪気さである。 日本人の季節感はせっかちで、実際よりはやく季節を区切る(二十四節気)ことは、既に述べた。 そのずれが季節感であって、無邪気に夏ですねと、ある番組(覚えていれば書いているのだけど)が云ったのは変です。
'07年05月07日

一病息災

 きのうから風邪をひいている。 軽いものと思われるから、ひと晩で治るか知ら、ゆうべは早く寝てけさは早く起きた。 喉の痛みはとれたけれど、まだ本当ではない。 洟はでるし、つまるし。 すこし悪寒がして、熱っぽい。 肩も痛い。 これだけ症状が揃っていれば、立派な病気のように聞こえるかも知れないが、 総合的判断による私の見立ては軽い風邪である。

 連休最後のきょうは安静にしていることにした。 朝ご飯のあとは、頓服を飲んで横になった。 じゅうぶん寝たのに、横になれば眠くなるから、矢っ張り病気なのだろう。 浅い眠りのせいか夢うつつな気分で、妙な夢を見る。 筋のない夢で、目が醒めると丸で覚えていない。 昼ご飯のあとも夕方まで寝ていた。

 夜になって小康をえた。 この調子ならあとひと晩たてばよくなりそうだけど、 どうだろう。 まあ、なるようにしかならいので、きょうも早く寝るとするか。
'07年05月06日

億劫帖 ・ 更新

 長年パソコンでやることは決まっているし、使うソフトも決まっているから、 新しいソフトを入れようとは思わない。 出来れば同じ状態で使い続けたいから、アップデートだの更新なんかはしたくない。 マイクロソフトの月例パッチはセキュリティの問題があるから我慢しているだけであって、 それがなければハードーディスクの中が汚されるに過ぎない。 ソフトの更新もセキュリティ・ホールが修正されたと云うからするのである。

 以前はコントロールパネルから古い版をアンインストールしてから入れ直す。 そんな行儀よさがあった。 いまではそれも億劫(おっくう)であるが、最近のソフトは更新の有無をチェック出来るものが多いから少しは楽になった。 上書き更新するのもある。 だけど、どう更新するのか明示してくれないのもあるから困ったものだ。

 QuickTimeが更新された。 セキュリティ修正のマイナーアップデートである。 滅多に使うことはないが、まったく使わないのではないから、 まず<既存のソフトウェアの更新>を実行してみる。 暫(しばら)く待つと、<ソフトウェアサーバーとの接続を確立できませんでした。 このコンピュータのインターネット接続に問題があるか、 サーバー側がオフライン状態にあります>、と云ってくるから、サーバー側が休んでいることになる。 失礼なソフトである。 仕方なく、最新版をダウンロードした。

 お行儀よく更新するのも億劫である。 まあマイナーアップデートだから、とインストーラーを実行した。 けっこう待たされたけど、きちんと現在の版を削除して新しい版を入れるので一人前のソフトである。 こんなことしても、なんにも嬉しくないのである。
'07年05月03日

八十八夜は満月

 きょうは、夏も近づく八十八夜。 立春からかぞえて八十八日目。 なぜ、<夜>なのかは知らないけれど、こんやは晴れていて満月がかかっている。 むかしから、この頃には遅霜(おそじも)が降りて農作物に被害が出るそうだがそんな気配はない。

 夕飯は外で食べることになり、近くのトンカツ屋に足を向けた。 店の入り口は開いていて暖簾(のれん)が掛かっている。 暖簾をくぐると衝立があって、人の気配はない。 そんな構えの店である。 センサーが付いているらしく、店の案内の人が現れた。 馴染みの顔である。 席に案内されて、私はいつもの一口ヒレカツと大根おろし。

 お膳には、丸皿の上に豚カツと千切りキャベツの大盛り。 お新香は大根の漬け物で、蜆(しじみ)のおつけ。 それに、小皿に盛った大根おろしである。 この大根おろしが好物で、私は箸の持ち方があやしいのだけれど、 こう云うときは上手く操ることが出来るから気にしていない。 一口大の豚カツの上に大根おろしを適量、と云うより乗るだけのせる。 そのうえから、土佐醤油をちょっと垂らす(これが難しいンだが)。

 店を出ると満月がみえる。 あしたから待ちに待った連休である。 帰途はそのことで、ああしようこうしようと、計画はちっとも纏(まと)まらない。 別に困る訳で無し。
'07年05月02日

純正品

 自宅ではパソコンのプリンタは滅多に使わない。 別に、ペーパーレスの生活を旨とする訳ではないが。 カラープリンタを買ったのは十数年前で、インクジェット方式が定着して価格が一段落したころであった。 値段は確か3、4万円だったと思う。

 当時は、プリンタメーカー以外の会社がインクを安値で売っていた。 スポイトのようなものでカードリッジに詰め込むものがあった。 インクは消耗品だから、プリンタメーカーにとっては貴重な収益源である。 だからプリンタメーカー各社は自社製のインクカートリッジを<純正品>と大書して不純製品を警戒していた。 <純正品以外を使うと故障の原因になります>云々と。

 滅多に使わぬプリンタだけど、使うときもあるのだ。 そのときに限ってインクが無かったり固まって使えないのである。 インクが無いのは蒸発したからである。 その都度、<純正>のインクカートリッジを交換していたが、 去年の春にそのカートリッジが手に入らないと云う事態になった。 メーカーが古い型のプリンタのサポートを打ち切ったのである(たぶん)。 仕方がないから買い換えた。 一万円程度で高機能。 パソコンのほうでインクの状態を知ることが出来るンですな。 一年経って先日、使っているとシアンのインクが切れかかっていると教えてくれた。

 あの<不純製品>メーカーはどうなっているのかを知らない。 もし健在なら、<純正>のサポートを打ち切ったインクカートリッジの<不純製品>を売ったらどうだろう。 いや、ひょっとするとあるのかも知れないが、それではもう手遅れであるけれど。
'07年05月01日

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