三和土 以前、あるマンションの間取りの図面をみていると、玄関のドアが内開きになっている。 めずらしいし、玄関が窮屈で不便だろうと思ったのを思いだしたのは先日の新聞をみたからである。 日経の土曜版についてくる、NIKKEIプラス1のなかにあった「日本のドアはなぜ外開き」と云う記事で、以下はこれにもとづく。 アメリカの住居は大抵、内開きである。 その理由が興味深い。 外敵防御のためだと云う。 つまり、<住宅など建物は、危害を加えられないように自分を守るためのもの。 簡単に開けられないように、荷物でバリケードをつくるなどして、内部にいる人がコントロールできる方がいい>、 と如何にもアメリカ的な発想である。 玄関で靴を脱ぐ日本では外開きでないと邪魔になる。 韓国でも同じだそうだ。 それに雨対策。 梅雨のある日本では、内開きにすると<ドアの下から雨がしみ出しやすい>。 これもわかる。 が、マンションよっては玄関前にポーチだとかアルコーブなんかがあって、 雨が当たらないように出来ている。 だから、以前みた間取りの玄関ドアが内開きでもかまわなかったのかも知れない。 記事では3つ目の理由として、三和土(たたき)の傾斜をあげている。 <清掃時の排水用に外に向けて微妙に下がっているので、内開きだとドアがひっかかる>、と云うもの。 <たたき>はわかるが、なぜ<三和土>と書くのか。 そう思って『広辞苑』をみるとない。 えっ、と云う感じ。 あるにはあるが、説明になっていないのだ。 それで、『学研現代新国語辞典』をみると、立項されている。 参考までに引き写すと、<セメント・砂利・砂などでかためた、玄関・湯殿・台所などの土間>と。 ちょっと物足りないが何とか用は足りている。 こう云うことがあるから、広辞苑を過信してはいけないのだ。 |
|
上席 夕方、出発の一時間前に空港に着いた。 断っておきますが、帰りの便である。 それに、ゴールデンウイークの休暇旅行でもない。 きのうの土曜日を連休の始まりとかぞえると、連休の前半はこれで潰したことになる。 連休の二日目に出かけるひとはないだろうから、空港はガラガラとは云わないまでも空(す)いていたのは何よりだった。 搭乗手続きを済まして、あと一時間、どう過ごそうか考える間もなく思いついた。 踵(きびす)を返してカウンターで、「クラスJありますか」と訊くとあると云う。 前方にある上級座席のことで、千円で座れる。 いちど試してみようと思っていた。 これは、幹部が喧嘩ばかりするから業績を悪化しているJ印の航空会社のサービスである。 のってみると広くて座り心地もいい。 足下のスペースも広いから、まえの座席下に荷物がゆっくり置ける。 足のせじゃないが、座席の下に足を支えるリクライニングのようなものを出すことが出来るのは気分がいい。 隣との間には10センチ平方の物を置けるスペースがある。 混んだ便でないので隣はいない。 だからこのスペースは、隣がいたらどう使うことなるのか、と思ってみたが。 まあ、わりと良く出来た座席だった。 あしたは昭和の日の振り替え休日だからゆっくり過ごそう。 あさっての五月朔日(ついたち)と二日は平日なのは我慢することにして、 後半の連休はどうしようかなぁ。 |
|
電源 平成十二年の大晦日、除夜の鐘が鳴るまえだったかどうだか忘れたけれど、使っている途中にノートパソコンが壊れた。 ハードーディスクがクラッシュしたのである。 これが私にとっての西暦2000年問題であった。 尤も前兆はあるもので、すこし前にチェックディスクをかけたときに、ディスクにエラーを起こしていた。 そのとき<これはハードーディスクが壊れる前ぶれです>とかなんとか云うメッセージが現れたので、 ついに起きたか、と云うほどの感想しかなかった。 ハードーディスクを交換すればまだ使える筈だから、取り出してみると今では珍しいことではないが、何とパソコンメーカーとは違うメーカーである。 ウィンドウズ95のノートパソコンで何年も使いこんでいる。 交換するのも安くはないだろうから、買い換えることにした。 明けて正月の二日に、滅多に寄り付くことがない大型電気店に出かけて買ったのが、いま使っている ウィンドウズ2000のノートパソコン。 先代よりも長生きしていることになる。 勿論、消耗品は既にがたがきている。 バッテリーがそう。 随分まえからバッテリーだけで起動することが出来ない。 面白いもので、コンセントに繋がないで、電源を入れるとウィンドウズのロゴが現れるところまでは行くのだが、 途端に真っ暗な画面になり落ちるのである。 まあ、ノートパソコンを持ち歩くことはないので不自由はないから、バッテリーを交換する気もしない。 それでも、うちの中で移動して使うときは、スリープ状態にして、コンセントを差し替えて使うことは出来る。 しかも長時間使えて、短時間で充電と云うような無理をする最近のものではない。 火を噴くことはないのが取り柄である。 |
|
順序 ついこないだ、暫くぶりで日本料理の宴会に列席した。 ビルの10階ぐらいにある料理屋だったから、眺めもよかった。 お酒はどれも呑み放題と云うことだが、食事のときに呑みながら食べる習慣はない。 それでも白ワインをグラスに二杯だけ貰った。 懐石料理だから御馳走に順序がある。 まず先付にはじまり、 吸物、向付(むこうづけ)、八寸、焼物、煮物とつづく。 焼物は鰆(さわら)で、めずらしいと思う以上に旨かった。 それらは一皿ずつ出されて、平らげたあとは下げて次がくる。 御飯に香物と止椀が出て来るころには、お仕舞いで、 それからデザートが現れてお開きとなる。 さて、ここからは銀行について話題を移したい。 せっかくの御馳走が不味(まず)くなりそうな野暮なはなしで恐縮だがネ。 私が預金する銀行は、通帳から振り込むときの手順がおかしい。 最初に金額を入力してから振込先の口座番号を入れるのである。 だからたぶん、現金振り込みだと、はじめにお金を渡すことになる。 これじゃ一抹の不安がある。 振込先を先に指定して、口座番号に間違いがないのを確かめて、 最後にお金を入れる方が安心するに違いない。 いつもお金のことしか頭にないようなATMのプログラムがこうなるのは仕方がないとして、 こう云うことで不安に思うのは銀行を信用していないせいである。 通帳で引き出すときは、通帳を入れ、キャッシュカードを入れ、暗証番号を入力する。 それから金額を入力すると、ATMは一寸考えて、通帳に記帳してから、お金が出て来る。 このときも、通帳、キャッシュカード、現金は一度きに出て来るのは困ったものだ。 もたもたしてるとパーパー騒ぐ。 順番に一つずつ出て来れば受けとりやすいのだけど。 |
|
インストーラー 携帯プレイヤーのアプリケーションの、最新版が公開されているのを2か月遅れて知った。 音楽CDをパソコンに録音し、それを携帯プレイヤーに転送する。 それだけのことが出来ればいいので何もバージョンアップするまでもないと思うから気づかなかったのかな。 ところが、以前更新すると、使い勝手は向上していたので、発展途上のソフトだろう。 と、更新することにした。 まずインストーラーをダウンロードする。 インストーラーは軽いから、それを起動するとサーバーに接続して必要なファイルをダウンローして、 現在の版をアンインストールしてくれて、最新版に更新してくれる。 変だなと気づいたのはインストーラーのダウンロードである。 1メガもない軽いファイルなのに時間がかかる。 通信速度が極度に遅い。 丸でダイヤルアップみたい。 こんな時、こちらのせいなのか向こうのサーバーの問題なのか考えて仕舞う。 でも状況からして向こうが悪いに決まっている。 丁度、テレビは映画版『海猿』をやっている。 我慢してインストーラーをダウンロードして起動して、あとはテレビを見ることにした。 2時間経ったころ、覗いてみるとちっとも進んでいない。 相変わらずダイアルアップ接続なみの速度で、これじゃ埒(らち)が明かない。 忌々(いまいま)しいとは思わないけど、インストーラーの性能を試してみよう。 インストーラーと云うからには賢くないといけない。 <中断>と云うボタンはないが<キャンセル>はある。 これを押すと、ここまでの作業を中止して次回起動したときは続きをやってくれるのか、 それとも水泡に帰すのか。 これがわからないんだよね。 試しに、まずLANケーブルを引っこ抜いてみた。 するとダイアログが現れて、「通信が切れたのでインストールを中断します」とかなんとか云ってきた。 で、インストーラーをまた起動すると、なるほど<中断>だった。 さっきの作業の続きから始めている。 そこで、<キャンセル>を押して終了させ、もう一度起動すると、また続きをやるので、安心して翌日(きょう)にすることにした。 けさは早起きしたので、起動すると、どうだろう。 丸で、雷に打たれて別人になったのか知らないが、よく働く。 昨夜ダウンロード出来なかったファイルを、忽(たちま)ち行いインストールして仕舞う手際よさ。 きのうの夜、あれはなんだったんだろう。 |
|
メールソフト きのうメールソフトのサンダーバード、バージョン2が公開された。 1.5からおよそ一年ぶりだろうか、これでブラウザのモジラ ファイヤーフォックスと番号が並んだ。 ウィンドウズに付属のメールソフトは使わないことにしている。 いや、使わないどころか、実は一度も起動したことがない。 だからどんなソフトかも知らないのだけど、だいたい察しはつく。 セキュリティのうえで物騒だと云うのは別にして、 使い勝手は悪いだろうと察している。 デザイン(設計)の問題でもあるのだけど、振り回されてどうする。 このメーカーの悪いところは新しい機能を利用者に強要することで、 ワード、エクセル、それに日本語変換ソフトだって、バージョンがかわると途端に今までと勝手が違うので戸惑うのである。 迷惑だから代替えのソフトを使っている。 センスが悪いのだ。 はなしを戻して、メールソフトはもうひとつ秀丸メールを使っている。 これは、どちらかが不具合が起きたときの用心と、メールを二重に管理するため。 それで、ふたつを使っているが、サンダーバードは複数のアカウントを一度に処理できる。 秀丸メールは、その機能はないが、メールの振り分けは簡単である。 これらを混ぜて欲しいな。 |
|
創作料理 桜は散って仕舞ってはいないけれど影は薄くなった。 かわって冬のあいだ枯れていた木々に葉がついて、青々としているのに気づいたのは、きょうである。 見た目には新緑の季節の到来かと思えども、きのうは寒かった。 でも、きょうは暖かさは戻った。 午(ひる)どきにパスタ屋に這入った。 ごく普通の店と同じでランチメニューがある。 何種か用意された中からパスタ料理を選んで、決まったサラダに好きな飲み物を選ぶ。 料金は手頃である。 たしか、以前はスープもついていた。 クラムチャウダーかミネストローネのどちらかを出していた。 それがあるときから止めて、サイドメニューに昇格した。 パスタのほうもがらりと変わって、創作料理の傾向に作風がかわって仕舞った。 子どもの時分はミートソースは好物で、色んな具のパスタを喜んだものである。 それが、おとなになると嗜好もかわって、蕎麦と同じでシンプルなものが好きである。 蟹の手足が乗っているパスタなぞ顔をそむけて仕舞う。 だからペペロンチーノは好みである。 尤(もっと)も、ペペロンチーノはパスタの基本で、 こんなものを出す店は日本だけだろう。 丁度よその国で日本料理店と称して、ご飯と漬け物だけ出すようなものである。 でもペペロンチーノを食べるに堪(た)える店はいいパスタ屋である。 そんなことをお喋(しゃべ)りしているうちにパスタが現れた。 和風の創作料理のつもりだろう。 具は茄子と鶏そぼろ。 葫(にんにく)と赤唐辛子ではなく生姜(しょうが)で味付けしたのは如何にも和風に違いないが、 何だか鶏の臭みを生姜が消していそうで、いないような中途半端な味がした。 アクセントに紫蘇でもあればと思った。 |
|
真田小僧 落語『真田小僧(さなだこぞう)』は、こまっちゃくれた子ども金坊が言葉巧みに父親から小遣いを巻きあげる。 そんな噺(はなし)で、親子の会話だけで運ぶ。 これなら、小学生でもおもしろがって聞くだろう。 古今亭志ん朝の口演にこの前座噺のような『真田小僧』(『落語名人会16』、ソニー・ミュージック)があって、 みっちりと演じていてそれが実におかしい。 客席の受けもよく、笑いころげている(ようだ)。 こないだ、おとっつアんの留守によそのオジサンがおっかさんを訪ねて来た、と金坊が云う。 これが妙に思わせぶりに語るから、気になってくる。 「おとっつァん、この話聞きたいかい?」 「そら、ま、聞きたいよ」 「じゃあ、お銭(あし)おくれよ」 と、父親から小銭を巻きあげる。 「で、どうなったんだい?」と、話をせかす父親に、「じゃあ、あと五銭おくれ」と金坊。 「さっき払ったじゃアねえか」。 「イヤ、さっきのはここまでなんだよォ。 こっから先はまたお銭がいるんだよォ」。 こんな調子で、小銭を巻きあげていく。 「そしたらね、出かけてくときにね、開いていた障子がね、帰ってきたら、ピタァッと閉まってんだよ」 「障子が?」 「うん。そいからあたいがソオーッとそばへ寄ってってね、そいで、この、障子をね。 ……おとっつァん、これ、開けたい?」 「開けたいよ。ちょっと開けてみなっ」 「これ開けんのにまた五銭かかる」 |
|
Copyright(c) 2004-2007 Yamada,K All Rights Reserved