1987年12月。NHKで「Hiroshima Live 1997」が二日間に亘って放送された。
この年の8月に行われたこのライブは、いわゆるエイド(救済)系のライブイベントで、確かアーティストが無償で参加するものであったと思う。
僕は、当時からほとんどテレビ出演をしていなかった尾崎豊を目当てにビデオ録画をした。
今よりはるかに心と時間にゆとりがあった当時の僕は、こと邦楽に限っては何でもとりあえず聴いてみることにしていた。
時代や流行やルックス(90年代風にはビジュアル)に振り回されずに真に優れたものを見極める力が、少なくとも当時の僕にはあった。
当時有名とされていた多くのアーティストが続く中、GentleLandのイントロをバックにECHOESは僕の前に登場した。
おそらく出演者の中で、もっともマイナーな部類であったような覚えがある。
画像から受けた印象はさほどでは無かったが、2番の途中まででカットされたその曲の中に僕を捉えたフレーズがいくつもあった。
GentleLandのほぼ全ての歌詞が1フレーズ毎に僕の胸に突き刺さり、何度となく蘇えった。
短い歌詩に凝縮された言葉の裏に潜む意味深さとに驚嘆した。
次の日、猫背がちの僕の姿勢は既に少しだけ良くなっていたと思う。
いつでも胸をはって歩いていたい。体も、そして心も。
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