Self Notes 003 : 1987 おなかを空かせて立っている  (2000.06.04)

ECHOESを初めて目にして何日か後、僕はレンタルレコード屋に立ち寄り、迷わずECHOESのデビューアルバムとGentleLandのシングルレコードを手にしていた。
GentleLandは溝が片面にしかないA面のみのシングルで、その型破りな形状が更に期待を掻き立てた。
既に何枚かは出ていたアルバムのうちデビューアルバムを選んだのは、
紛れも無く「いづれ全て聴くことになるのだから原点から。」という確信からであった。
そして、その確信は現実のものとなってゆく。

その頃から僕は、毎日おなかを空かせていたような気がする。


     

Self Notes 002 : 1987 胸をはって歩いていたい  (2000.04.20)


1987年12月。NHKで「Hiroshima Live 1997」が二日間に亘って放送された。
この年の8月に行われたこのライブは、いわゆるエイド(救済)系のライブイベントで、確かアーティストが無償で参加するものであったと思う。

僕は、当時からほとんどテレビ出演をしていなかった尾崎豊を目当てにビデオ録画をした。
今よりはるかに心と時間にゆとりがあった当時の僕は、こと邦楽に限っては何でもとりあえず聴いてみることにしていた。
時代や流行やルックス(90年代風にはビジュアル)に振り回されずに真に優れたものを見極める力が、少なくとも当時の僕にはあった。

当時有名とされていた多くのアーティストが続く中、GentleLandのイントロをバックにECHOESは僕の前に登場した。
おそらく出演者の中で、もっともマイナーな部類であったような覚えがある。
画像から受けた印象はさほどでは無かったが、2番の途中まででカットされたその曲の中に僕を捉えたフレーズがいくつもあった。
GentleLandのほぼ全ての歌詞が1フレーズ毎に僕の胸に突き刺さり、何度となく蘇えった。
短い歌詩に凝縮された言葉の裏に潜む意味深さとに驚嘆した。

次の日、猫背がちの僕の姿勢は既に少しだけ良くなっていたと思う。

いつでも胸をはって歩いていたい。体も、そして心も。

 


   

Self Notes 001 : 1986 最強のロックバンド登場  (2000.03.27)

1986年頃のことだ。
小岩駅近くのレンタルレコード屋「チャイム」、2Fの窓側の陳列棚の一番前にそれはあった。
今は無きその店に並んでいたアナログ盤は確か「HEART EDGE」であったと思う。
ECHOESというバンドの名前だけは、何となく僕の耳に入っていた。
聞いたことはあるが聴いたことのないそのバンドのLPレコードの右上には、
すごいアルバムです、等々、10行程の熱のこもった手書きコメントが名刺大の紙にびっしりとしたためられていた。

店内にはぽつぽつとそうした紙が貼られたレコードはあったのだが、
その内容は営業用の揉め言葉だけではなく的確なものが多かった。
恐らくよほどひいきにしていた店員さんがいたのだろう。
当時、レンタルレコード店の店員といえば楽器屋の店員のようなものだっだ。
特にロック系は聴きまくっている、という感じの頼れるみなさんなのであった。

僕もかなり多くの楽曲を聴きまくっていたのだが、
その時は僕がそのレコードを手に取ることはなかった。
ECHOESというロックバンドの最初の記憶はこんなものだ。

"すごい"と賞されたそのアルバムに貼られた紙の書き出しは確かこんなクダリであった。

「最強のロックバンドの登場です。」

 

 


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