1000円以下でできる

自作アーシング

最近、巷では、アーシングなるものが流行です。結局のところ、バッテリのマイナス側の配線を強化するものなのですが、結構効果があるというウワサです。自分は、車に関してはシロウトですが、電気に関してはプロです。電気のプロの目からみたアーシングしてみました。

追記 2002.2.11
アーシングしてから約2ヶ月、劇的な変化を感じて驚きましたが、劇的な効果が有ったか、変わらぬ燃費などを考慮して少し冷静な目で再び考えてみました。

  • アーシングとは、基本的には経年変化により経たったアースラインを新車状態に戻そうというもの。
  • そのため、おおむね古い車両に有効であるが、ハズレ(組立不良、設計不良)な新車にも効果があるかもしれない(笑)
  • オーディオ系、ランプ類、モーター類(セル、オルタネータ、ファン)などは、配線箇所により明らかに改善される(場合によったら新車でも効果あり)。
  • エンジン関係では、エンジンの挙動が変わる場合もある。アイドリングが変化するのはセンサ類の抵抗値が変わるせいだと思われる。
  • 自分の場合、中低速トルクの向上が感じられたが、これが、点火系によるものか、センサ系によるものか未だ判別はできていない。
  • 2万円の高級品も、2000円の自作品も、効果にさほどの違いは無い。ただ、市販品は、電気の素人が施工しても失敗が少ないことは事実だろう。

能書き

に興味がある方はこちらをどうぞ

最終更新日 : 2001.12.4

どんなケーブルを使うか?

アーシングには8スケアとか14スケアのケーブルが良いと言われています。なぜ8スケアなのか根拠は不明ですが、太ければ太いほど抵抗が少なくなるので有利です。ただし、マイナス側だけ無意味に太くしても、プラス側の配線は同じなのですから、無駄なお金を使って、さらに車を重くするだけです。ちなみに、8スケアは導体の直径が3.2mmです。網線だと、もう少し太くなるでしょう。アーシングのケーブルは、太いだけでなく耐熱性に優れていることをウリにしているアーシングキットは多くあります。確かに、エンジンルームはかなりの温度になりますし、エキマニあたりの温度は相当なものです。皮膜が溶けて燃えてしまうと確かに危険ではありますが、電線が排気系に触れなければ、それほど神経質にならなくても良いように思います。たとえ皮膜が溶けて、どこかに接触したとしても、もともとボディーと同電位ですから短絡してどうにかなってしまうわけではありません。皮膜が燃えない様に気遣えば良いだけです。

もう1つのネックとして耐久性があります。シリコンの良質な皮膜なら、きっと長持ちするでしょう。メッキ処理されていない裸の銅線では、すぐにさびてきます。10年持たせたいと思うなら、良質な市販品をオススメします(^^;) でも、その前に、アースラインの端子が酸化してきて、きっと元の状態に戻るでしょう、アーシングは何年かに1度、端子(電線は使える)を交換してやると効果的だと思います。

皮膜にこだわらなければ、電線は安い物です。自分は、さらに安く上げるため、要らなくなった無線用の高周波ケーブル(藤倉製5D−FB)から、シールド線(網線)を取り出し、それをビニールチューブ(内径7mm)に入れて使いました。シールド線はスズメッキ仕様で、藤倉製ケーブルは品質が良くシールド量も多いので4回折り返して使用しました。新規に高周波ケーブルを買うと高いものに付きますのでご注意ください。なにも5DFBである必要は無く、TV用の高周波ケーブルでも良いですし、普通のACコードの電線だけ取り出して束ねてみるのも良いでしょう。要は、有る程度の太さが稼げれば良いわけです。ただ、メッキ処理されていない電線だと錆びますので注意しましょう。また、配線用の電線ならば、1mあたり100〜200円で買えるそうです。被膜が黒とか灰色で格好が悪いのですが、性能は変わりません。

端子をどうするか?

購入した端子は右の写真のようなものです。ホームセンターで1袋4個入りで150円ほどでした。ただ、エンジンブロック部が内径10mm、スロットルボディが8mm、それ以外の部分が6mmと異なるので3種類の端子を買わねばなりません。本来、この手の端子は圧着して取り付けます。圧着はきちんと処理してあれば、スポット溶接に匹敵するほど丈夫で接触抵抗が少ない取り付け方らしいのですが、しっかりと圧着できる工具は高価です。ちなみに、圧着力の弱い安物工具だと強度も抵抗も悪くなります。いわんや、普通のペンチでカシメたり、トンカチで叩くような取り付け方では、今は付いているように見えても、1年も経たないうちに外れてしまうかもしれません。止めた方が無難だと思います。そこで、自分は半田付けしてしまいました。完璧な圧着に比べると、強度も、抵抗も、耐熱性も悪いのですが、普通のペンチよりマシだと思っています。ただし、エキマニの近くに付ける場合は、半田付けだと溶けて外れる可能性があるので、気を付けてください。 写真準備中

何処に取り付けるか?

フロントセクション

これからは、MR2(SW20)限定の話です。基本的にはセオリー通りにやることにします。フロントセクションは、バッテリのマイナス側から左右のタイヤハウス(左右フェンダーエプリンアース)にあるアースポイントです。自分の車のバッテリ端子は、バッテリの端子と固定する側のネジが長めでしたので、ここに端子をネジ止めしました。ここには、ライト類やパワステ、コンビネーションメーター、エアコンのアースが来ていますが、アースラインを取り付けることで、これらの接地抵抗を下げるだけでなく、ボディ全体との抵抗を減らし、ボディ後方にある各装置に電流を流しやすくするのが目的です。ちなみに、純正状態では、バッテリとバッテリのすぐ後ろのバルクヘッドに、ちょっと細いかなと思えるケーブル2本で配線されています。

リアセクション

リアはエンジン系を中心にアーシングします。2型NAの純正アースは右タイヤハウスとエンジンブロック(インテークマニホールドアースらしい?)につながっているだけですが、これを、イグニッションコイルとスロットルボディにも接続し、合計4カ所を繋ぎます。市販のアーシングキットは、ダイアグノーシスのコネクタあたりにターミナルを取り付け、そこからアースラインを引くようですが、そんなターミナルを使うのは余り意味が無いので、1本の線を順番に繋ぐような形で取り付けました。また、市販品は、イグニッションコイルではなく、その上にあるセンサの足の部分でアースを取っています。イグニッションコイルの部分は、ネジが取り外しにくく大変だからでしょう、でも、自分はあえてイグニッションコイルに付けました。

近い内に、右タイヤハウスのアーシングポイントを別の電流が流れ安そうな場所に変更し、左タイヤハウスと、ダイアグノーシスの横のボルトにもラインを増設、今取り付けている、エンジンブロック部がホントにインテークマニホールドなのか再確認後、誤りならライン増設をするかもしれません。

自作アーシングの結果は?

エンジンの調子を良くしたい!

アーシングの最大の目的は、エンジン関連の調子を良くしたいことです。特に点火系は、プラグコードでプラス側の電流をプラグに流すことはできても、マイナス側の電流はエンジンを通ってイグニッションコイルに戻ってきます。ここはボルト締めの端子やボディーを通っていますので、アースラインを追加するこで効果が得られそうです。

ちなみに、点火パルスは、時間の短い高圧な電圧がかかります。反面、負荷インピーダンスは結構高く、たとえば、レジスタプラグは5KΩの抵抗入りですし、純正プラグコードは10KΩ以上の抵抗があります。さらには、イグニッションコイル自体の出力インピーダンスも相当高いハズです。つまり、アーシングにより数Ω程度の直流抵抗が軽減されても、さほどの効果は得られない計算になるのですが、実際には違います。これは、直流的な抵抗だけでなく、交流的な抵抗(インピーダンス)も改善できるからでしょう。

イグニッションコイル(イグナイタ)はバッテリからの電圧を増幅する装置です。バッテリからコイルに流れる電流も時間の短いパルスですが電圧は12Vです。プラグ側の電圧がどの程度になるのか知りませんが、数千〜数万Vにはなるでしょう。つまり、プラグ側の電流の数100倍の電流が流れる計算です。ここでは直流抵抗もそこそこ重要です。バッテリとイグナイタまでのアースラインを増強する必要があります。もちろんパルス電流が流れるので交流抵抗も低くなくてはなりません。

ついでに、セルモーターやオルタネータもエンジンにぶらさがっているので、エンジンの掛かりが良くなったり、発電能力が上がったりの効果が得られそうです。意外な処では、センサ類の信号が、より正確にCPUに伝わるという可能性もあります。車は新車状態で上手く動くように設計されています。古い車の燃費が悪くなるのも、案外、この辺に理由があるのかもしれません。

まず、リアセクションだけアーシングしてみました。取り付けた箇所は、上の写真の用に4カ所です。イグナイタを中心に、ボディ2カ所、エンジン2カ所です。取り付け、早速エンジンを掛けてみると、アイドリングが少し不安定です。車を動かすため、アイドリング付近の回転数でバックしていたところ、いきなりエンストしてしまいました。排気ガスも妙に臭いです。アース状況が変わって、CPUのセッティングが合わなくなった感じです。この後、買い物で10kmほどドライブしてみましたが、回転数が上がれば、特に違和感はありません。トルクが上がった感じもしませんでした。ただ、買い物から戻ってきたときには、アイドリングは正常に戻っていましたので、CPUはちゃんと学習したようです。

次は、フロントセクションに手を入れた!

今ひとつだった結果に、今度はフロントセクションに手を入れることにしました。取り付けた箇所は、上の写真の通り3カ所です。いよいよ、エンジンを掛けて(セルに変化は感じられない)、夜間だったのでライトON、フォグランプが異様に明るくなって、ホワイトバルブの様な色合いです。ヘッドランプもレンズのムラが路面にはっきり映るようになったので明るくなったようです(差は感じられないが)。そして、パワステが妙に軽くなりました! なるほど、パワステが重かった理由はココにもあったんですね! また、コンビネーションメータのアースも、ここで取られているため、中のリレーや、エアコン類のモーター元気良く回っています。

アイドリングのムラは無くなりましたが、アイドリングの回転数がかなり高めで2000rpmくらいいきます。エンジンが冷えているとはいえかなり高めです。ちなみに、アイドリング時は、CPUが学習を終えた今でもかなり高めです。そして、回転数がなかなか落ちてきません、暖気をしすぎると燃費悪化を起こしそうなぐらいです(^^;)

しかし、低速トルクは劇的に上がりました。アイドリング域から2500rpmあたりまで、もう、劇的です。リークしたプラグコードを新品に変えたとき以上の変化でした。いや、今までが、トルクが痩せていただけなんでしょう。思い出してみると、MR2納車時は、それなりに低速トルクがありました(でも1.6Lカローラより低かった)。LSD入れた以降あたりがら、なんだか劇的に低速トルクが無くなってきた感じです。そういえば、エンジンオイル交換の時、エンジンブロックのアースラインあたりにオイルをこぼした記憶があります。その時は、その下にあるオルタネータに掛からなかったか心配したのですが、アース端子のところにもべっとり付いていて、ここを掃除してアーシングしなおしたのが効果が劇的だった要因の1つかもしれません。2500rpmあたりのトルクアップには、もう慣れてしまいましたが、1000〜1500rpmあたりの低速トルクは、今までの運転方法と全く異なるほど強くなったおかげで、未だに慣れないくらいです。未だにおっかなびっくり、クラッチを繋ぐクセが残ってます(^^;) ちなみに、ポンと繋ぐと、ポンと飛び出すほどトルクが増えました。新車状態は、みんなこんなんだったのかな・・・

アーシングは劇的!

4年式ですから、もう10年選手です。古い車には、アーシングは劇的に効果があると思います。それも、わずか1000円足らずで、さほど手間も掛けずにできました。リアセクションのボディに落ちている部分が少ないので、もう、何本かアースラインを増やしてみようかと思っています。フロントセクションの純正アースライン部分も増強してみたいです。あとは、前後を繋ぐのもやってみたいところですが、配線が長くなるので、手間や費用や電線重量の増加に見合うほどの効果があるかどうかは不明です。

アースケーブル 無用になった高周波ケーブルのシールド線を使ったので0円
もし買ったとしても 300〜600円(その場合、ビニルホースは無用)
3m
ビニルホース シールド線を保護するためのビニルホース(内径7mm) 3m x 50円
端子 6mm x 5個、8mm x 1個、10mm x 1個 それぞれ4個入りで150円 4袋 x 150円

アースポイント箇所の詳細

リアセクション


スロットルボディはネジ径が8mm

イグナイタはここにある

イグナイタの取り付け部は
狭くてスパナでも回しにくい場所

2型NAの純正アースは
エンジンとタイヤハウスにラインが通っている
ここのラインを増強する

エンジンブロックに付いているアースライン用ボルト
インテークマニホールド・アースラインかどうかは不明
オイルで汚れたのでブレーキクリーナーで掃除する
ネジ径は10mmと太い

右リアタイヤハウス部のアース取付部
純正アースと共締めだが、
なんだか頼りない鉄板に付いている

フロントセクション


右フロント・タイヤハウスにある
アースポイント

左フロント・タイヤハウスにあるアースポイント
パワステリレーの裏側でよく見えない

バッテリ端子部分
黒くて細いのは無線機用電源ライン