著書と翻訳書ついて(補足)

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〈著書〉

『シュヴァンクマイエルとチェコ・アート』未知谷.2008年(8月).301p. ISBN 978-4-89642-235-1 表紙(裏)にかかれた文章から――

  ブルトン『シュルレアリスム宣言』から10年──表現主義、キュビスム、ダダなどの影響のもと、タイゲ、トワイヤン、ネズヴァル、シュティルスキーらは独自のアヴァンギャルド《ポエティズム》を推進し、その後発展的解消を経てシュルレアリスムを宣言する。社会主義体制下では地下活動を余儀なくされるが、幾度もの世代交代を経てチェコ・シュルレアリスムは、現在進行形である。

アニメーションの錬金術師シュヴァンクマイエル、チェコスロヴァキアの《ヌーヴェル・ヴァーグ》、ゼマンやトルンカの《チェコ・アニメーション》、ルドルフ2世からアヴァンギャルド……
シュヴァンクマイエル、チェコ映画、チェコ・アートの三部構成で論じる待望の評論集。

モノクロの小さいものながら図版もたしか60点くらい入っています。


※この本のアマゾン・マーケットプレイスの「中古商品」の個所をみたら、「コメント」に「帯なし」と書かれていました。この本にはもともと帯は付いていません。出版社の方針のようです。帯に書かれているような紹介文は、いわゆる裏表紙に書いてあります。

目 次

第1部 ヤン・シュヴァンクマイエル
I 実現された夢の世界──シュヴァンクマイエル・アートの正しい見方・楽しみ方 8
II ヤン・シュヴァンクマイエルの「触覚の芸術」 33
III 戦闘的シュルレアリストの賭け──ヤン・シュヴァンクマイエルの『ボヘミアにおけるスターリン主義の終焉』をめぐって 48
IV ユートピアをもとめる終わりなき闘い 81
V 人気の確立とエヴァ夫人──この一〇年を振り返って 88
VI ヤン・シュヴァンクマイエル全作品解説 95

第2部 チェコ映画
I チェコ・アニメーション・ネットワーク 126
II 大笑いするアヒル──カレル・ゼマンの作品に登場するキャラクターをめぐって 140
III オール・ヌードで世界の桧舞台へ──チェコとスロヴァキアの映画について 147
IV チェコスロヴァキアの〈ヌーヴェル・ヴァーグ〉 152
V 英雄になれない主人公──チェコの映画と文学におけるフィクションの力 158

第3部 チェコ・アート
I チェコ・マニエリスムとの「決定的な出逢い」 168
II エキセントリックな蒐集家──ルドルフ二世 176
III 「ことば」の蒐集──レオシュ・ヤナーチェク 190
IV 二〇世紀チェコのアート・シーン──ヤン・パトチカを出発点として 195
V チェコ・シュルレアリスムについて 222
VI イジー・コラーシュ 240
VII チェコ・シュルレアリスム小史(パート1)──一九一八年から一九四八年まで 246
VIII チェコ・シュルレアリスム小史(パート2)──一九三九年から現在まで 258

註・参考文献

あとがき

初出一覧




〈翻訳書〉

(C) 水声社 ★ フレッド・ミラー・ロビンソン『山高帽の男――歴史とイコノグラフィー』.水声社.2002年(9月).ISBN 4-89176-471-6 (原文=英語)

帯のコピーより――

 〈モダン〉のしるし
 文学・絵画・映画・演劇に現れる、山高帽をかぶった男たち/女たち。
 その姿・振舞い・視線が見る者に、語りかけてくることとは何か?
 「軽さ」か?
 「重さ」か?

19世紀中頃のイギリスに生まれた山高帽がファッションのアイテムとして、また文化の記号としてどのような意味を担ってきたのかをたどる「山高帽の文化史」。図版も50点以上ふくまれています。


「正誤表」

 フレッド・ミラー・ロビンソン『山高帽の男』(水声社、2002年)にいくつか誤記・誤植・あやまりなどがみつかっております。お詫び申し上げますとともに、以下のように訂正させていただきます。(2002.12.01現在)
ページ 位置
p. 226(前ページからのつづき) (欠落)[……できなか(前ページ)]ったことを、自分のオペラと演劇そのもののためにすることができた。彼はモダニティを受け入れることができたのだ。[*1]
p. 192上(左)段.2行.ルードヴィヒルートヴィヒ
p. 3489行.ルードヴィヒルートヴィヒ
p. ************
p. ************
p. ************




〈著書〉

(C) 水声社 ★『ミラン・クンデラと小説』.水声社,2000年(7月).459p(2段組み).ISBN 4-89176-423-6

 内容を簡単に紹介すると、(1)いわゆる「キッチュ」概念を出発点に、クンデラの小説の最大のテーマともいえる「無垢」ないし「無邪気」の問題を考察し、(2)翻訳、亡命、バイリンガリズムを視野に入れながら小説の「ことば」について議論し、(3)チェコ文学におけるクンデラ――詩人としてのデビューから今日の特殊なあり方までの全体――を、同時代の批評とのかかわりをとおして検討し、最後に(4)クンデラの小説の形式を分析しながら、同時に現代のフィクションというより大きなコンテクストにおいてこの小説家の位置をさぐるといったところです。

目 次
はじめに(007)

序章(019)

第1章:キッチュとは何か?(041)
 1.小説とキッチュ(043)
 2.キッチュという「ことば」(047)
 3.キッチュという態度(051)
 4.消費生活と心地よさ(055)
 5.美的な嘘(058)
 6.芸術におけるキッチュ(060)
 7.スーザン・ソンタグの「キャンプ」メモ(063)
 8.ウラジーミル・ナボコフの「ポーシュロスチ」批判(066)
 9.小説美学のキーワードとしての「キッチュ」(072)
 10.ヘルマン・ブロッホのキッチュ論(074)

第2章:キッチュ批判、あるいは手法としての小説(081)
 1.サビナとともに(083)
 2.クンデラの「ポリフォニー」(084)
 3.エッセイの形式(090)
 4.地球のうえで裁かれる神の子(092)
 5.天国と興奮(096)
 6.メーデーのパレード(098)
 7.魔法の輪、あるいは失われた楽園への郷愁(100)
 8.芝生のうえを駆ける子供たち(113)
 9.全体主義の美的理想(118)
 10.問いかけること(124)
 11.〈大行進〉(130)
 12.死のキッチュ(133)
 13.距離と均衡(136)
 14.ふまじめの精神(139)

第3章:小説の「ことば」(145)
 1.亡命者の言語(001)
 2.一九六九年/「タイムズ・リテラリー・サプルメント」への手紙(149)
 3.翻訳のための「ことば」(154)
 4.世界文学と翻訳(159)
 5.フランス語訳の冗談(162)
 6.正しい冗談?(164)
 7.真正なモデルとしてのフランス語版(165)
 8.『不滅』のふたつのチェコ語版(170)
 9.『不滅』のチェコ語版ができるまで(173)
 10.カフカとカラス(179)
 11.興奮の正しいあり方(186)
 12.愚かさ[ベティーズ]について(188)
 13.ことばの響き(193)
 14.くり返すことのむずかしさ(195)
 15.「まじめ」と「ふまじめ」、「非‐真面目」(198)
 16.小説の「ことば」/小説家の言葉(205)
 17.いくつかの情報(209)
 18.真正な英語訳(212)
 19.英訳者たちの復権のために(222)
 20.「故郷」と「ことば」(227)
 21.「不滅」への歩み(236)
 22.「ヨーロッパ」というユートピア(243)

第4章:クンデラとチェコの批評(253)
 1.11月のハリケーン(255)
 2.叙事的ジャンルと抒情的ジャンルの結合(258)
 3.キッチュな自画像?(262)
 4.新しい文学の寵児(265)
 5.小説の技法と詩的思考(277)
 6.流れに逆らって(281)
 7.失われた世代(283)
 8.「実存の小説」と幻滅のフィクション(288)
 9.空飛ぶエリュアール(297)
 10.抒情的な時代(302)
 11.詩と真実(306)
 12.閉じられる輪(311)
 13.社会主義のヴィジョン(313)
 14.西側での成功(316)
 15.語りの軽さ(318)
 16.同意と反論(320)
 17.「著者による附記」と作者の意図(323)
 18.「ポスト‐クンデラ世代」?(325)
 19.チェコ出身のフランスの作家として(329)

第5章:歴史をとらえなおす小説のかたち(331)
 1.ふたつの課題(333)
 2.フィクションの存在論的なちがい(333)
 3.小説と世界像(335)
 4.中央ヨーロッパ小説(338)
 5.古典的モダニズム?(343)
 6.文学のポストモダニズム(345)
 7.同時代の作家たちの所見(348)
 8.語り手の自意識の顕在化(352)
 9.異質なものを導入する方法(359)
 10.ことなるジャンルの融合をめざして(364)
 11.メニッペアに寄り添って(368)
 12.テクストの構成法と「作者」のステイタス(371)
 13.自伝的なモチーフ(374)
 14.歴史をとらえなおす小説のかたち(377)

あとがき(383)

註(387)

付録1:ミラン・クンデラの本(397)

付録2:ミラン・クンデラ年譜(407)

参照文献(429)


[とある必要から目次をざっとフランス語にしたので、ついでにアップしておくことにしました。あやまりや不適切な表現などが多々あると思いますので、どうぞご指摘ください。
Table des matieres(2000.06.28)]


「正誤表」

 さまざまな制約があったなかでも、できるだけ慎重に見直したつもりでしたが、それでもやはり誤植、誤記、訂正漏れ(わたしの手をはなれたあとに発生したらしいものもふくめて)がみつかっております。ここに「正誤表」をつくりました。お詫びするとともに、以下のように訂正させていただきます。

◆◇◆ 日本語とともに欧文の装飾文字をきちんと表示させることはむずかしいので、ここで必要なものについては、さしあたってつぎのように表記しておくことにします――
「a」のうえに「^」(フランス語のアクサン・シルコンフレクス)がついた文字→「a^」
「c」のうえに小さな「v」(チェコ語のハーチェク)がついた文字→「c*」
「i」の点が「´」(チェコ語のチャールカ[かたちはフランス語のアクサン・テギュに同じ]の文字→「i'」)


Page 位置
p. 15<第1章、8.>ウラジミールウラジーミル
p. 46上段.9行.あらゆる人びとが理解したいあらゆる人びとが聞きたい
p. 66上段.節見出しウラジミールウラジーミル
p. 97下段.14行.byti'byti'm
p. 104上段.9行.byti'byti'm
p. 138下段.10行.あり、クンデラの小説あり、何がクンデラの小説
p. 204上段.10行.[SESJa^ …][SESJC* …]
p. 205上段.10行.lehkost et …lehkost a …
p. 267上段.最終行.エドゥアールエドゥアルト
p. 281上段.最終行.信じていたなら信じる共産主義者だったなら
p. 295上段.14-15行.ポトスカリーポツカリー
p. 296上段.18-19行.オマージュを捧げているものの、「詩人が夢想し、描き出した未来が結局はべつのものだったので」、称賛はしなかったと述べオマージュを捧げ、称賛はしているものの、「詩人が夢想し、描き出した未来が結局はべつのものだった」と述べ
p. 297上段.8-11行.過去、およびそれとともに過ぎ去る時間の感覚とは無関係で、この無能さを償うのが、時間の重みのないような状態を意味する、すばらしい未来への祈り、あるいは過去という時間の拡がりと過ぎ去る時間の感覚とは相容れないという点、ならびに、その無能さを償うのがすばらしい未来――いわば時間的な無重力状態を意味するすばらしい未来――の崇拝か、あるいは
p. 297上段.14行.例でしかない」例でしかない、ということをクンデラはあばいている」
p. 328下段.6行.意識した作品意識した散文作品
p. 394下段.6行.[宇S-S: …][C*FS-S: …]
p. 402(書名)『アイデンティティー』『アイデンティティ』
p. 405上段.4-5行.ブルノで生まれ、ブルノで生涯を過ごしブルノで生涯の大部分を過ごし
p. 423下段.3行.ドゥトゥルトルデュトゥルトル
p. 423下段.4行.ドゥトゥルトルデュトゥルトル
p. 424下段.1行.ドゥトゥルトルデュトゥルトル
p. 432左段.Broch 1995 の文献入nI田眞右訳入野田眞右訳
p. 436<Flaubert 1978,タイトルと出版社のあいだ>(抜け。なぜか山田〓訳.(「爵」の「爪のつ」のかわりに「木へん」[いずれも部首名]=「爵」の「四」[横になった「目」]のうえに「木」])
p. 438左段.Horsbrugh の文献和田但和田旦
p. 453左段.Pohorsky' の文献SlomkyZlomky
p. 458左段.(WA)の文献AuthersAuthors
p. ************
p. ************
p. ************


★ ミラン・クンデラについて書いた文章のいくつかをオンライン公開しています。  →「On Milan Kundera




〈編集・翻訳〉

(C) 国書刊行会 ★『シュヴァンクマイエルの世界』.国書刊行会,1999年(12月).[原文=チェコ語・英語]

「編集・翻訳」を担当。テクストの原文はチェコ語と英語。「フィルモグラフィ」と「年譜」も作成しています。

[お詫びと訂正]
『シュヴァルツェヴァルトとエドガルの最後のトリック』という映画がありますが、このタイトルのうしろのほうの人名が、初版分では全体にわたって「エトガル」になっていました。

また、「フィルモグラフィ」の『シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』と『部屋』の「出演」に「ユライ・ヘルス」とありますが、正しくは<ユライ・ヘルツ>です。

○「エドガル」 ← ×「エトガル」 

○「ヘルツ」 ← ×「ヘルス」

以上、お詫びして、訂正させていただきます。


☆「不正操作」という訳語についてご関心のある方はこちらをご覧ください。



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