竹生島
Chikubu-jima Island

小さく竹生島が浮んでいる。春三月のこの島を舞台にした能曲「竹生島」では弁財天の優雅な天女舞と竜神の豪快な舞働きが見事だとのことだ。いつかは拝見したい。万葉集にはこの島をうたった歌はないと思うが、このあたりを詠んだ歌はいくつかある。右手の余呉湖の伊香山(いかごやま)で笠朝臣金村が作った歌、
「草枕旅行く人も行き触ればにほひぬべくも咲ける萩かも」
「伊香山野辺に咲きたる萩見れば君が家なる尾花し思ほゆ」 (万葉集巻八 1532,1533)
金村は宮廷歌人として吉野、紀伊、難波、播磨などの行幸に度々従駕し、万葉集には長歌8、短歌22首が採られている。敦賀の手結が浦の歌も彼の歌である。