金ヶ崎城月見御殿址からの敦賀湾
The Tsuruga Bay from the ruins of the Kanegasaki-tsukimi Palace

金崎宮から尊良親王墓所を経てここまで誰にも逢うことはなかった。
月見御殿址に立つと足下に敦賀湾が広がる。右手の防波堤のある東岸辺りが田結(たい)の海浜で、笠朝臣金村の歌がある。

角鹿津(つのがのつ)にして船に乗りし時、笠朝臣金村の作れる歌一首並びに短歌
「越の海の 角鹿の濱ゆ 大船に 眞楫(まかじ)貫きおろし いさなとり 海路に出でて あへぎつつ わがこぎ行けば ますらおの 手結(たゆい)が浦に あまをとめ 塩焼くけぶり 草まくら 旅にしあれば 独して 見るしるし無み 海神(わたつみ)の 手に まかしたる 玉だすき 懸けてしのひつ 大和島根を」
「越の海の手結が浦を旅にして見ればともしみ大和思ひつ」       (万葉集巻三 366、367)