権現海岸からの姫島
Himeshima Island from Gongen Shore

使節の船はもしかして姫島のあたりまで吹き戻されたのかも知れない。
阿倍継麻呂を大使とする遣新羅使のメンバーは、天平八年六月初めに難波を発ち、瀬戸内海、対馬海峡を渡って朝鮮半島に辿り着いたが、当時我が国と新羅とは良好な関係ではなく、ミッションは不首尾に終わった。さらに失意の大使安倍継麻呂は復路の対馬で客死し、副使も病気で倒れた。
伝説では、姫島は新羅と縁の深い島だが、仮に一行が島影を見たとしても、そのことに思いを馳せる人がいたかどうか。