鈴木光司の本

「光射す海」  (96/6 新潮文庫)00/8読了

この本はリングやループが世に出る前の作品だと思ったが、私としてはそれら出世作よりも、こちらの地味な小品に心動かされる。きりっとまとまり、ラブストーリーも良い。演劇やマスコミの世界、医者の世界、隔離されたマグロ漁船の世界と全く異なるシーンのコントラストが素晴らしい。楽しく読めて、多くを物語る佳作として評価したい。
「新しい歌をうたえ」  (97/9 新潮社) 99/1読了
今をときめく「リング」の鈴木さんである。その自叙伝とも言えるエッセイ集で、ロックバンドに熱中していた高校時代をメインにした内容は正直驚きである。やっぱ、普通のサラリーマンとは違うと思えるが、ここまで思い切られれば、失敗しても悔いはないだろう。

それでも、決して異端の人ではなく、学業の考え方など納得する点も多い。考えてみれば常識的な人間なのだ。常識的な考えができ、才能があり、タフなのが、現代の作家の条件なのか。

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