「柔らかな頬」 (99/4 講談社) 00/7読了
珍しく購入した本を1年積んでありました。ミロ・シリーズの新作も出たとのことで、慌てて(?)読みました。「OUT」 (97/7 中央公論社) 98/11読了女主人公の生き方が強烈で、読み終えてからもちょっと私には違和感があります。というのは、あれが男だったら、単なるスケベオヤジじゃないか。売れる本にするためには、濡れ場は必須で、そんなところを計算したのかなぁ・・。ちょっと、ここまでの淫乱は少ないと思いますが、どんなものでしょうか?
小説の構成はしっかりしており、結論がないところも私は、納得できます。カスミと石山、その家族の人物描写もしっかり描けています。このあたりはさすがですね。はたして、私はカスミか石山か、どっちのタイプの人間なのでしょう?
内容的には、篠田節子似と言おうか、「女たちのジハード」を連想させる。そういう意味では桐野らしさが薄れた作品なのは残念である。私はやはり、「ミロ」にもう少し登場してもらいたいのだが。
それでも、さすがにストーリーは飽きさせず、一気に読ませる。主人公はいつもながら女性。これだけ平凡な舞台設定での意外な展開に息を呑む。結末は当然ながら勧善懲悪ではなく、清々しささえ感じさせる。OUT=出口はこのギリギリの場面で、救いにつながる道なのである。
我が家の愛犬「ミロ」は、ここから頂戴した。小説の中のようにカッコイイ「ミロ探偵」に会ってみたいものだ。「女探偵 村野ミロ」シリーズはぜひ全編読破しましょう。
ミロ・シリーズの変形版と言えるだろう。恋愛ものとしてミロの両親の話(正確には違うのだが)が出てくるのだが、こちらも非常にイケテいる内容である。この本は桐野夏生の作品で、特にお勧め。