冨士本由紀の本

「包帯を巻いたイブ」 (95/1 集英社) 00/2読了

男装するために胸にサラシを巻くのは世界中で行われることらしい。私はこの本を読むまでは内容は知らなかったが。この人の作品は「自立した女性」というのがいつもテーマにあり(そんなこと当たり前か)、その社会での格闘の様子が、歯切れ良く、哀感豊かに描かれているのには感心する。ストーリーとしては長すぎず、レズビアンという題材を驚くほどあっさりと書き終えています。やはり、上手な作家ですね。
「つめたい彼女のつめたい悩み」 (95/8 集英社) 99/12読了
若くて食えないときに劇団の「劇作家」。食えないから企業勤めしても、やはり劇団が好きという、後書きのクエナイ美学まで一貫した主張があって、清清しい。女性に読んで欲しいというが、男が読んでも嫌味なく楽しめるのに、そんなことを書く本心を聞いてみたいものだ。

「けだるい無性」でのテーマと同じく、私もカウンターカルチャーは大好きなのです。 

「けだるい無性」 (97/7 集英社) 97/5読了
無性というのは男でも、女でもないという意味。自分を取り戻していくジャズ・プレーヤーの話で、私の個人的な趣味からいえば懐かしさを感じさせるものの、ノスタルジーに終わらせないタフなストーリーとなっている。文章はたしかにうまい。で、笑わせる書きかたもできる。若手の作家ではないが、その分巧みで、楽しめる。
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