ビートルズ巡礼（96/6　文藝春秋） 98/3読了

青春デンデケデケデケでも、著者のロックフリークぶりを披露していたが、中でもビートルズ、それもジョン・レノンの熱狂的なファンとして、イギリスへ旅立った時の随筆集。中年の男性をロックミュージックの巡礼に旅立たせてしまうほど、ビートルズは我々の時代では偉大だった。

貧乏学生の生活を描いた、短編集。

２０年ほど前の東京での学生生活がベースになっており、著者の自伝的な要素が大きいのだろう。私が年代的に似通っているので、共感するところも多い。田舎から出てきた青年が東京で大人になっていくという、よくある話のようだが、陳腐ではない。１９７０前後に学生生活を体験している人には特におすすめ。

著者の作品である「青春デンデケデケデケ」はＮＨＫのドラマにもなっていたが、この続編といえるだろう。できうることならあの時代に帰りたいものだ。

最近はこの人は推理ものを書くようになったらしい。名探偵の主婦が次々と難事件を解決していうという短編集。正直、こういうのは私の趣味ではないのだが、この推理シリーズは続編も出ているようだ。

田舎町でロックミュージックに目覚めた高校生が、バンドを結成するストーリー。今ならどうってことはない内容なのだが、当時ロックバンドを田舎町で結成してモノにするのは、器材の面や、練習場所、発表場所の面で想像を絶するものがあったかと思う。その上、この時代にエレキギターを持つものは「不良」であった。

そんな格闘の青春時代が面白おかしく、哀感豊かに表現されている。
ＮＨＫのドラマでもやっていたようであるが（私は部分的にしか見てないが）、こちらも印象に残る仕上がりであったと記憶する。