記事一覧 > この頁
Starnet++(v2)に関するメモ
- StarNet++の新しいバージョンが公開されているので、Windows版(GUI,CLI)を使用した際の覚えを書き留めておく。
- 従来のバージョンに関するメモは下記のリンクを参照。
【GUI版】
- GUIウインドウでパラメータを入力しRunをクリックすると、コマンドウインドウが出現し処理が引き渡される。
- 入力ファイルのパスは、次回実行時にも引き継がれる。
- 拡張子が「tiff」の場合は見えないので、ファイル種別で「ALL files」を指定すること。
- 出力ファイルは、入力ファイルと同一フォルダに生成される。
- 出力ファイルの名称は、初期値では入力ファイルと同じになっているので、適宜修正が必要。
そのまま実行したときは、警告メッセージが出現し修正を促される。
- Finer tilesにチェックを入れると、v1のSTRIDE128相当となる。
初期値では(チェックが入っておらず)256相当である。
- 処理時間はSTRIDEの変更に相応して短くなっている。
v1と同じSTRIDEであれば長くなっているが、初期値が64から256に変更されているので問題無いだろう。
【CLI版】
- 指定がなければSTRIDEは256に設定される。
- 64等も指定できるがv1に比べ処理時間が長くなり、精度的にも効果が無く無駄である。
256または128で使用するのが無難。
- 処理時間はGUI版とほぼ変わらない。
- 操作はv1と同じで処理対象の画像ファイルを、プログラムと同じフォルダーに置かねばならない。
- v1のバッチファイルを修正して利用することにした。
- [環境に合わせて適宜修正]
set InstDir=C:\USR\LOCAL\StarNetv2CLI_Win\
set AddWord=v2-starless
starnet++.exe ~%1 %~n1_%AddWord%%2.tif %2
【特記】
- 出力されたスターレス画像を検証すると下記のようになる。
入力画像は、はくちょう座サドル周辺で微恒星の多い領域を、やや強めに粗強調したものである。
- starnet_chk.bat
▼入力画像 vs スターレス画像+恒星画像
▼v1スターレス画像(64) vs 他スターレス画像
- v2はv1よりも入力画像との差異が大きい。
- いちおうPSNR 40以上, SSIM 0.98以上である場合、主観評価では元画像と区別がつかないとのこと。
従って実用上問題無しという判断は可能である。
- ただしスターレス画像同士を見比べた場合、明らかに違いがわかることもある。
この場合は主に輝星(サドル)の処理によって違いが生じている。
- 結果は入力画像によって様々に変わってくる。
- STRIDE(256vs128)による差はほとんど無い。
- 何らかのフィルタ処理(平滑化)を行っているものと思われる。
処理する対象によっては、かなり鮮鋭度が落ちてしまうことがある。
- 今のところSTRIDE256相当でも、タイルのアーティファクト(継ぎ目)が出ることはない。
- PI版ではリニア画像に対応している。
ただしニューラルネットワーク自体は、線形データでは機能しないとのこと。
そのため変則的な方法で処理している。
【まとめ】
- フレアの痕に発生していたメッシュ状のアーティファクトは、概ね抑制されたものになっている。
ただし次の例のように除去対象を誤判定する可能性がある。
誤判定とは「恒星と恒星とは異なる明るい対象」の識別のこと。
- このようなゴーストが発生している場合は、恒星でないと判定されるようで、そのままスターレス画像に残ってしまう。
一見ゴーストが発生してないように見えても、僅かに存在する場合、上記と同様の結果になる。
この場合は光条があるので恒星と判定されたのだろう。
v1はアーティファクトが発生しているが、v2ではほぼ問題無い状態で除去されている。
- なおv1で輝星痕のアーティファクト(メッシュ状)を気にする人がいるようであるが、上記のstarnet_chk.batでの検証、及び主観評価で支障が生じたことはない。
恒星と合成しても明視されて不都合がある状態は、過強調した画像を入力しているためと思われるので、ワークフローを見直すべきだろう。
- フィルタはオンオフできるようにして欲しかった。
もっともフィルタをかけないと、v1よりも精度が落ちるのかもしれないが……
- 処理対象やワークフローによっては、v1を使ったほうが好ましい場合もあり得る。
初出:2022-02-08 改訂:2022-03-11
(C) YamD