海の男
水野さんは漁師である。
津波後に買い直した船で海に連れていってくれた。
津波であらかた陸に打ち上げられてしまったウニ。震災後、特別に養殖などしなかったが、みごとに前ほどの生息数まで復活したそうだ。
見渡す限りのウニウニウニ…。
水野さんは船でウニ取りの絶好ポイントまで行き、エンジンを止めた。
海中めがねをつけて、たもでウニを獲りはじめる。
時折、微妙な舵取りが必要になるとオールを足で操って船の位置を変え、がさがさとウニを獲っている。
たったの5分で、たもはウニでいっぱいになった。水野さんはそれを無造作に足元にあける。
陸にあげられたウニは、あわてふためいてわさわさがさがさと盛んに動いている。
私は、ウニがこんなに素早く動くものだとは知らなかったので、相当びっくりした。
すると水野さん「アワビも、陸に上がると動きが早いよ」。…?!アワビが、海から出てくる(夜行性で、夜になると岩場に上ってくるらしい)のも知らなかったし、ヤツらがうねうねと動き回るというのもかなり驚き。遠目から見ると、石が動いているように見えるそうだ。
う〜ん。夜は不思議に満ちてるねぇ。
そいつはさておき。とれたてのウニを「ぱっくり」と呼ばれる道具を使ってさばいて、食べさせてくれた。海の塩味と、ウニの甘みがたまりません。