店によってかなり味の違う治部煮。…逆に言うと、店によって店の味があるので、あちこちで食べ歩くのは非常に面白い。

 ここでは、具に鴨・椎茸・生麩・簾れ麩・小松菜(?)を使用。
 どこで食べても、甘じょっぱすぎてのどが焼け付く感じがするのだが、ここのは少し味が控えめだった。
 汁のとろみは、麦粉でつけていることが判明した。ほっほう。

 鴨がレア気味になっており、肉汁が出るほどで、ものすごく柔らかい。


 ここで使われている器は、ほとんど漆器である。
 そして、時々椀物の蓋に、絵が描かれていたりする。先ほどの萩ふかしの椀の蓋に描かれていたものは「江戸浮世絵」。治部煮の方は「旅情風景」。

 椀ものが出てくるたびに、蓋をひっくり返したくなる衝動に駆られた。仲居さんがいない隙に、こっそりめくってみたのだが、この2つ以外は蓋には何も描かれていなかった。残念。

 どの器にしてもとても大切に扱われていて、重ねるのが厳禁なだけではなく、きれいに洗って丁寧に拭いた後、黄色の袋に納めて大切に保管するそうだ。…例えそれが、次の日に使うものであっても!

 忙しいときには、調理場からお客様のいる棟まで料理を上げ下げする人手を増やす。器を重ねない為に、そこまでする!
 その徹底ぶりには、頭が下がるばかりである。

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