無機ガラスによるハーメチック封止
室温で硬化するSiO2無機ガラスによるハーメチック封止技術
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常温で無機ガラス材料を形成するアルコール可溶型有機ケイ素化合物、その他金属化合物、触媒を含むシリカ液体にサブミクロンサイズの
粒子を分散し、該粒子の比表面積増加による界面張力の効果をシリカ液全体の界面張力を制御することに利用し、
基板表面、雰囲気、該粒子を分散させた該シリカ液体の3者の接する3相界の断面の点に作用する界面張力をバランス条件に設定することにより、
該粒子を分散させた該シリカ液体に於いてアルコール可溶型有機ケイ素化合物、その他金属化合物が液中でイオン化し触媒の作用によって
常温でガラスと同じSi-O結合から成るSiO2ネットワークを形成する反応過程にあるガラス状態物質を封止パターン上、
乃至は該封止パターンスペース内に安定に留めながら該Si-O結合ネットワーク形成反応過程を経てその反応を完了させ、
該サブミクロンサイズの粒子を分散・充填したガラス化硬化材料を該封止パターン上、乃至は該封止パターンスペース内に均一に形成する
接着封止方法。
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室温で硬化する無機SiO2材料によるハーメチック封止技術である。上の写真はこの無機SiO2材料によりガラスとガラスをボンディング接着
した小さなサンプルの例である。Si-Oネットワーク化反応は液相で室温で進行し反応が完了した時、
固体化し形成された無機SiO2がガラス板とガラス板の間の5um厚スペースに均一にボイド無に形成されている。
その無機封止層は透明である。その接着は500度C、1時間の熱処理に耐える。そして、この無機SiO2接着封止層は
ペンタフルオロプロピオン酸への24時間浸漬試験に耐える耐蝕性を示す。
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室温で反応し形成されるSiO2で接着・封止したガラスとガラスの小片をダイヤモンドポイントでけがき接着部を3小片に分割し、
各1小片の接着層内部のSiO2を切断面にて外気に露出させる。そして、その小片を空気中で200度C、又は400度Cで高温ベーク処理する。
SiO2層による接着・封止のせん断強度はベーク処理無サンプルで4-9 N/mm^2、200度C/2時間ベークサンプルで4-6 N/mm^2、
そして400度C/2時間ベークサンプルで 6-9 N/mm^2である。接着スペース内で形成されるこのSiO2封止膜は高温ベークに耐える信頼性
をもっている。
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このSiO2接着層のガスバリア性を評価するため、ガラスとガラス小片をSiO2層による接着し、接着片中央に接着層を突き破る深さに穴を
掘った小片を準備、その穴から排気しSiO2接着層を透過してくるHeガスリーク量を測定を行い、
次にこの小片に200℃/2時間の空気中ベークを追加した後、そしてさらにこの小片に400℃/2時間の空気中ベークを追加した後に
各々そのリーク量を測定していった。各測定において、各測定でのブランクガラス小片でのHeガスリーク量は4x10-12Pa・m3/sであって、
SiO2接着サンプル小片で測定されたどのリーク量との間にも有意差は認められず、このSiO2接着封止層には4x10-12Pa・m3/sレベルのリーク
の無いことを確認した。このSiO2封止層の高温ベークに対する耐性をHeガスリーク量測定によっても確認できた。
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このハーメチック品質の封止技術はマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)等のウエハーレベルパッケージングを目的に開発した。
有機ELディスプレイパネルの薄膜による封止や個別素子等の表面保護膜への応用なども可能であろう。この低温封止プロセスは素子にダメージを
与えず、また、この無機SiO2封止材はガスや湿気の浸透に対して優れたバリア性を有す。
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日本国特許番号5109013号(2012年10月19日登録)「ガラス化硬化材料とその製造方法及びパッケージ構造と封止パターンの形成方法」
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改定日: 9/25 2018