通し番号「6」ニューヨーク(2)

「Mとの再会」


雨のせいらしい、予定を10分程遅れて私の名前が呼ばれた。ほっとした。
シャトルバスの乗客は私と、日本女性がもう一人。他はスペイン語圏の国の人?運転手さんも?....バス内ではスペイン語が飛び交っている。
日本女性はライターを生業とし結婚相手がニューヨーカーとのことで、時々ニューヨークに来るそうだ。羨ましい。私はスペイン語に耳を傾けてみたが早いしさっぱりわからない、これからどうしよう....と不安を覚えつつ更に注意深く聞いていると、知っている単語がときどき出て来てうれしくなった。

道が渋滞している。そのうち寒くなってきた。横を見るとスペイン語の女性も手で腕をさすっている。私は思いきって声をかけた
“すみません、さむい?(ペルドン、フリーオ)”
“ええ(シ)”
通じた?!でも、それ以上に単語の出ない我が語学力。しかし、それは無駄にならず、女性は運転手さんに冷房を切ってくれと言ってくれたので助かった。

やっとブロードウェイに入ったようだ。ネオンが映画と同じ。うれしい。
私のxxホテルが見えたのに曲がらず通り過ぎてしまう。なぜ、と思っているとぐるりと回ってxxホテルに横付けされた。ニューヨークは一方通行が多いらしい。
私は「それでは。」と言い「アディオス。」と言ってバスを降り、チップを渡した。感覚がわからないので日本女性に尋ね、彼女が払おうとしている額を私は払った。
「チップはだいたい15%ですね。でも今日の場合はバスが遅れていることと、

額として割り切りがいいことで、今日は私は10%にします」
チップは払うべきものだが‘tip’の額はサービスによって自分で決めればいいのだ。

やっとホテルのフロント。

“私より先に友人がチェックインしているのでその部屋に行きたいのです。”

と言い方を変えて何度も言っているのに通じた気配がない。しまいには
“あなたのクレジットカードを貸して”
と言うので差し出すと、新規に部屋を取っている様子。

“私は友人に会いたいの!(I just want to meet your guest, my friend, M.)”

と声を張り上げるとフロント係、急に正常に行動し、
じきにエレベーターからMが出て来た。

「わーー!久しぶり!!!」

フロント係は“何言ってるのか分からなかった”などと言い訳している。
ではなぜ急にまともに動けるんだ?もうどうでもいい。疲れた。部屋に行こう。
ところが部屋に入るとクイーンサイズのベッドが一つ。Mは何度も再確認(リコンファーム)したというのに、チェックインすると、予約が違う日になっていると言われたそうだ。それでも、疲れたし、まっいいか、と、二夜を一つベッドを共有することにしてしまった。このホテルは従業員の態度が良くない、とMも怒り気味。
「昨日まではいい天気だったのに今日は雨で残念だったね」
「うん、でも会えてうれしいよ!ところで、私おなかがすきました。」<続く>

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