通し番号「4」

「迂回着陸/機内電話」


“お聞きください......飛行機はオハイオに停まります”
....、ニューヨークじゃないの?
何を言っているのかほとんどわからない。オハイオに停まるというのだけがやっと聞き取れる。そして、飛行機は着陸した。通路側の男性に尋ねる。
「どういうことでしょうか?」
「気流が乱れているので、迂回したらしいですよ。
五大湖辺りはいつも不安定でね。2時間くらい遅れるんじゃないですか」

ニューヨークのホテルのロビーで私の友人Mが私を待っている。
どうしよう。
仕方ない。とにかく電話だ。
クレジット・カードを出して、機内電話まで行く。電話の側面の隙間にカードの磁気を通せばいいらしい。私の番が来た。カードを通して、繋がった。ダイヤルして、あぁ、何て書いてあるかわからない。どうしよう。“エラー”!!??うーん、もう一度カードを通して、えー“読めません”ですって、困ったなぁ。後ろの人が手伝ってくれたが、結局、機内電話がカードを読み取れなくなったらしい。信じられない。
「多分、混み合ってるんですよ。時間を置いてまた挑戦しましょう」

一時間ぐらい経って、電話口が空いたので、もう一度電話をかけに行く。
カードを通して、....“unreadable”。だめだ。その時

“Hi!あなたのカード読めないのよ。私のカードで電話しなさいよ”

大きい赤毛の女性が手に持ったアドレス帳のようなものを開くと、それはカード入れで、左右にずらり、全部で30枚ぐらい、クレジット・カードが並んでいた。
“あら、これもだめね。だいじょうぶよ、私たくさん持ってるから

えい、えい、えい、あ、やっと通ったわ、どこにかけるの、
さあかけてあげるわ、かかったわよ、はい、どうぞ”
にっこり電話を渡されて、私はしどろもどろでホテルの人と話しをし、どうにか通じ、私たちの部屋に電話が回ったらしいが、

“.......(英語、聞き取れず).......ピー”
「あ、M。私です。飛行機オハイオで停まってるの。だから部屋にいてください。」

“Thank you very much.ありがとうございました。”
“よかったわね” にっこりして、そそくさ自分の電話をかけはじめた。
あぁ、あのカードの枚数、そしてにっこり。これこそアメリカ人!いい人だ。

彼女のカードの使いぶりに圧倒されながら、席に戻った。
....あの留守番電話、本当に私の部屋のなのかしら。不安だ。<続く>

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