通し番号「1」

「成田空港へ」


荷詰めが終わらない。
私は何に於いてもはじめが遅い。いつも後悔する。今回もまた同じだ。
今日出発なのに、まだ買い物も終わってない、ガイドブックのコピーもしてない、
植物は友人に預けなければならないし。。。

飛行機だけは乗り過ごしたらすべてが終わってしまうので、仕方がない、
すべておざなりにしたまま家を出た。植物を持って。
(でも2時間前に空港にいなければならないんだよ、植物預ける時間あるの?)

荷物を右肩にかけ左手に植物を持つ。他の旅行者から見れば(たったこれだけ?)と言われるほど小さくまとまった荷物ではあるが、やはり重い。暑い。つらい。

どうにか植物を預け、東京都の新宿駅に着いた。
どうしよう。安い電車に乗ったら間に合いそうにない。
電光掲示板を見ると‘成田エクスプレス’がある。まもなく発車だ。
(あれに乗れば飛行機には乗れるかも。

あぁ財布の中のお金で成田でイタリアリラを買わねばならないのに、
ここで特急料金を払うのか。ああぁー)
私は成田エクスプレスの乗車券を買い、指定のホームに行き、テレフォンカードを買い(要らないと思って家に置いて来るんじゃなかった)、旅行代理店に電話した。

「ちょっと都合で、指定された時間より一時間ほど遅く到着しそうなのです。」
「え、そうなんですか、ちょっとまってください....担当が今いないので....

あなた、今どこにいるんですか」
「新宿駅です。成田エクスプレスに乗ります。」
「ではまだ少し時間がありますね。もう一度電話頂けますか」
「はい。」
5分後、再び電話し、担当の方に私が遅れることの手配をしていただく。

成田エクスプレスの中だ。快適。この椅子を部屋に持って帰りたい。
この電車は全席指定らしいのだが、この車両は私専用のようだ。あぁすずやか。

そのうち成田空港に着いてしまった。

また重い荷物だ。
・・・・・・

ぼーーっ、としていてはいけなかった。40分の遅刻だ。いそがなくては。
迷いながら、電話で言われた受付に行く。
「すみません、連絡が行っていると思うのですが、遅れました。」
「はい、少々お待ちください」<続く>

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