均衡



全ての物質は均衡を保っている。
太陽と月の引力による潮の満ち引き。
水の表面張力と内部からの圧力。
南北の情勢。



我が家の時計も均衡を保っている。
時間である。
時間は全ての物に対して平等に影響を与える。
だからこそ同一の空間、同一の瞬間に複数の物質が存在できない。
シュレーディンガーの猫の話をあげて反論する御仁がおられるかもしれないが、あれは特殊な状況である。
つまりあれは量子的空間での話であり、猫を使って例題にするほうが間違っているのだ。
私はそう思う。
猫などと言う身近な存在でもって例とするからややこしくなるのだと思われる。
もっとなんだかよく分からないものを例として扱うべきなのではないだろうか。
例えばニュートリノとかタキオンとかミミガーとかだ。
実際この場合に上記のものを例に出すとさらにややこしくなる気もするが気のせいだ。
しかもシュレーディンガーの猫の場合、同時に違う猫が存在するのではなく、同一の猫が二つの状態で存在するのだ。
なんだかよく分からない。
が、私にはあまり関係無いので良し。
注:理解できない人、私に聞いても無駄です。
     なぜなら私もよく分かりません。



またいつものように脱線するのだが、私は猫がとてつもなく好きである。
猫を前にした私はとてもじゃないが人にはあまり見せられない、そんな行動をしてしまうのである。
生きとし生ける全ての猫を「にくきゅう」と名づけてしまい、可愛がる始末である。
おおよそ22歳の成年男性の姿とは思えない程の熱愛っぷりを発揮する。
私がシュレーディンガーの猫という話を好きになれない原因はそこにある。
猫を毒ガスが入っているビンがある部屋に放り込むな。
これである。
せめてシュレーディンガーの蛸とかシュレーディンガーの鯰とかシュレーディンガーのミジンコとかにしろ。
大体シュレーディンガーって何ですか。
何かのアニメの必殺技ですか。



そんな事はどうでもよくて、私の時計は最近秒針が常に45秒をさしている。
静止しているのではない。
一瞬46秒になろうとしているのだ。
しかし、その後また45秒の位置へと戻ってくる。
秒針の進もうとする力と重力が均衡を保っているのである。
つまり電池切れ。



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