(137)戦没者慰霊塔


              

「もう、戦争の事など思い出したくもないわ」悲しみ顔のクリスチアーヌ・フロニエ。彼
   女自身、親兄弟を戦争で亡くしている。フランスの各町には必ず戦没者慰霊塔が建立され
   、そこに第一次・第二次大戦の戦死者の氏名が、ヘルメットや銃のレリーフと共に刻まれ
  ている。思い々々のモニュメントは、教会、時計台、フォンテーヌと並んで新しい町を訪
  ねた時に、まず目に付く。残された家族にとっては、いつまでたっても忘れ得ぬ思い出だ
  ろう。ここプロヴァンスにもゲシュタポがやってきて、殺りくを繰り返した。フランスも
  ナポレオンの時に他国に対し同じ様なことをやっている。他国と陸続きのフランスは紀元
  前のローマの植民地に始まって、ゲルマン、スペイン・イギリス・ドイツとのいさかいが
続いて現代に至っている。国民感情も、ルロワはフランスの名前だけど、デルポートはそ
うじゃないわ、外国人に寛大そうなクリスチアーヌでさえうるさい。

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(138)私の好きな画家