「もう、戦争の事など思い出したくもないわ」悲しみ顔のクリスチアーヌ・フロニエ。彼
女自身、親兄弟を戦争で亡くしている。フランスの各町には必ず戦没者慰霊塔が建立され
、そこに第一次・第二次大戦の戦死者の氏名が、ヘルメットや銃のレリーフと共に刻まれ
ている。思い々々のモニュメントは、教会、時計台、フォンテーヌと並んで新しい町を訪
ねた時に、まず目に付く。残された家族にとっては、いつまでたっても忘れ得ぬ思い出だ
ろう。ここプロヴァンスにもゲシュタポがやってきて、殺りくを繰り返した。フランスも
ナポレオンの時に他国に対し同じ様なことをやっている。他国と陸続きのフランスは紀元
前のローマの植民地に始まって、ゲルマン、スペイン・イギリス・ドイツとのいさかいが
続いて現代に至っている。国民感情も、ルロワはフランスの名前だけど、デルポートはそ
うじゃないわ、外国人に寛大そうなクリスチアーヌでさえうるさい。