(132)エスカルゴ


         

「あの人達何を探してるんだろうね」雨上がりの草薮で、シュバリエ夫妻が捜し物をして
いる。「きっとかたつむりだよ」「どんなふうに食べるのかしら?」「そうだね、見てみ
たいもんだ」散歩の道すがら幸子との会話。やがて夫妻に近づいて「ボンシュー、何を捜
してるんですか」「ほら、かたつむりさ」既に篭の中にはたくさんのかたつむりがいる。
「食べるんですか」「そうだよ、どうだい今夜いっしょに」シュバリエの申し出を喜んで
受け入れる。・・「ヴォアラ」運ばれてきたオーブンの受け皿には、1センチから3、4
センチ程のかたつむりが、順序よく 並べてある。にんにくとバターの芳ばしい香り。「コ
ム・サー」かぎフォークでうまく中身を取り出して食べる。かたつむりと言うよりにんに
くの香りを食べてる感じだ。普段は、300キロ程西のポーと言う街に住むシュバリエ夫
妻夏の時期だけこの村にやって来る。我々と同年の子供二人の四人家族、もう10年以上
の付き合いになる。

目次に戻る

(133)パパジョン