(119)生活は文化を作る


              

「そろそろ鎧戸を、閉めるなくっちゃ。熱気が入って来るから」友人のポールが言う。「
   日本では、喜んで窓を開放してる所だがな」内心日本のことを考えながら、真っ暗になっ
   た部屋に不快感を持つ。「湿気の心配がないと、熱気か」如何に部屋を涼しく保つかプロ
  ヴァンスの人は、鎧戸の開閉に工夫を凝らす。少し開かれた扉から差し込む光は強い。光
  と陰の感じ方が自然と身に付いている。この意識は絵の組み立ての基本にも成っている。
  一方日本では、障子・カーテンとか曖昧な光があって、考え方にも影響している。私がフ
  ランスに絵を学びに来た原点がここにあった。照明も、必要な所だけ明るく照らす間接光
  の考え方はいろいろな所に影響を及ぼす。一度鍾乳洞の見学にいった時、薄暗い洞内の光
  の使 い方に感心した。水中に埋め込まれた光、石灰岩の後方から来る光、下から上に来る
  光、どれも皆新鮮だった。差詰日本では危険、事故の元と、ひんしゅくを買う所だろう。
  「生活は文化を作る」納得した。
 

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(120)人生はハーモニー