(118)環境アート


             

「人生は、美しくなくっちゃ!」いつも小綺麗な年配の女性マドレーヌが話す。日常の生
   活で感じたフランス人の芸術感は、生活に密着している。人生の喜びとして、絵・音楽・
   演劇・文学・料理・インテリア等々求めるものは多岐に渡る。日本の床の間的感覚に比べ
   、空間・時間全部が絵を飾るスペースだ。気負った所がない。「この絵はいくらですか」
  路上で絵を描いていると、八百屋の野菜感覚で気に入った絵の値段を尋ねて来る。普通個
  展で販売している価格を言うと「自分には到底買えません」かぶりを振って去って行く。
  「接点がなかったな」絵を通したいい付き合いが出来るチャンスだったがと私も残念に思
  う。絵のコレクションも個人、財団、国等、色々だが公開して皆で楽しむ傾向が強い。「
  文化は、皆で作り上げる、感動は皆で共有する」私がフランスで教えられた原則だ。これ
  は、1989年来私が提唱している環境アートの根底になっている。
 

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(119)生活は文化を作る