(117)タラタラ・テクニック


              

「大変だテレピンが垂れてきた!」垂直なキャンヴァス上、青い絵の具を付けた筆からテ
  レピン油がサーと落下する。急いで布で拭き取る。極薄いブルーの面が残る。何度もこれ
  を繰り返しているうちに「そうだこれも出会いだ。このまま残そう」発想の転換で思い付
  いたタラタラ・ふきとりテクニックだ。この他ひっかきテクニックもある。キャンヴァス
  上に赤い絵の具を塗り込んで、少し色の薄いピンクの方がいいと判断した時、ピンクを重
  ね塗りする代わりに、パレットナイフで赤絵の具引っ掻いて白地を出す方法。遠目には、
  赤より薄い色が出来ている。自分一人の力じゃなく偶然の出会いを絵の中に折り込むやり
  方は色の幅を随分広くした。細やかな色のハーモニーが奏でる音楽は、益々エネルギーを
  増幅させる、絵が楽しくなる。自然の中に身を浸し一体化する時、色彩のハーモニーは、
  光の結晶となり永遠の輝きを放つようになる。この充実感に心は昇天し、雲間を漂う。
 

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(118)環境アート