(116)あきれ顔


             

ミストラルが直接当たらない、木陰に陣取ってイーゼルを構える。直射日光がキャンヴス
   の中に入らない様な角度を見つける。作品を離れて眺めるため、後方に5m程下がれるよ
  うな場所を作る。屋外で絵を描く場合、景色の良さより、制作のしやすさを優先する。お
  のずと村で制作する場所は決まって来る。場所(1) 「サブレへの途中」、ここは、木陰を
  通して朝日の当たる村が見えるのがいい。(2)「溜め池」は、ブロヴァンスの平野を一望
  出来る。(3)「ドーテの家」は、近景に家、途中に学校、遠景に平野と順序よくモチーフ
  が並んでいる。(4) 「糸杉の下」は、ぶどう畑が手の届く所にあり、岩壁がそびえ立ち緊
  張感がある。私のお気に入りの場所で制作していると、村人が庭仕事に行くためよく通り
  かかる。30年近くこれを続けていると「よく同じ場所で制作出来るね」とあきれ顔から
  、「風景の中からおいしい所だけ取り込んでいるから続くのか」納得顔に変わって来た。
 

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(117)タラタラ・テクニック