(112)一番美しい村


            

「セ・パ・ジョリーきれいじゃないね」村に突然大きな窓が現われたのを見て、ムッシュ
  ・シアスが言う。景観の問題だ。フランスでは、日本のようにサッシ枠の窓や塩ビの雨樋
  をあまり見ない。昔ながらの木枠にブリキが使われている。家具にしてもプラスチック系
は好まれない、木製だ。“昔を守る”意識は強い。セグレ村は、国の企画した“美し
いフランスの村百景”の一つに選ばれた。村の入口にはその看板が誇らしげに立ててある
。1950年代一度は見捨てられ廃村になったが、その後復興し今ではブロヴァンスを代
表する美しい村になった。夏のヴァカンス客も、村の通りを散策し、花や猫、窓、扉、ツ
タ、フォンテーヌ、時計台の色形を楽しみ、展望台からの眺めに一息ついている。観光バ
スも訪れるようになり、益々賑わっている。補修清掃作業の方も毎日地道に行われ、ゴミ
の収集、道路・フォンテーヌの清掃、石だたみの補修等、村の職員が汗を流している。
           

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(113)希望の光