日本にいると一人でいると言う意識は少ない。言葉、空気、食物、身の回りのもの全てが
これまで馴染んで来たもので、丁度体温が伝わった下着みたいに何の意識もなくなる。こ
れが寒い日に着替えをするとその温度差で肌に刺激が伝わる。外国にいるのはこれと似た
様な状態で、絶えずその温度差が伝わって来る。その刺激が新鮮な喜びや感動を呼び起こ
す。マイナス面では不安や寂しさもあるが、それは意識の持ち方で、私の場合「変化スリ
ルを楽しむんだ」と思うようにしている。更に「この新鮮な感動を如何に色形に置き換え
ようか、このメカニズムを確立することが私の仕事だ」とわかって来て、事がうまく運び
出した。音楽や詩、自作のフレーズ等元気の出る言葉を復唱すると潤滑油となって私の全
機能がうまく回転する。更に「この感動を他人と共有出来るのは、益々エネルギーを増幅
させることだ」と知って勇気が湧いて来た。人、社会との絡みを自分なりに作れて、「こ
れが私の人生か」そう思える日々が50を過ぎてやっと来たようだ。