「今度の日曜日ポーランド人が家に来るんだけど、トシオ達も来ないか?」「相変わらず
フ ロニエ家は、交際範囲が広いね」「アンドレがヴァンダンジュ(葡萄狩り)の手伝いに行
っ て、知り合いになった人達なの」「へえ、でもポーランド人は、余りここでは見ないよね
」「今祖国は、インフレで大変らしいの、ギルとナターシャは教師、ポールは電気技師だ
と言ってたわ」友人のクリスチアーヌが見せてくれた彼等の写真、30代のカップルだ。
秋の葡萄狩りのシーズンになると、隣国のスペインやアルジェリアから短期の出稼ぎ労働
者が、ここプロヴァンスにやって来る。夏のヴァカンス客とはまた違った人種だ。「彼等
は、農家の納屋に寝泊りして、食事もままならないらしいわ。気の毒になってアンドレが招
待したの。今年一度蜂蜜のおみやげを持って立ち寄ったわ、陽気でいい人達よ」「そうだ
ろうね、積極的にフランスまで仕事にやって来るんだから」知らない国の人間、又興味が
湧いて来た。