「ムッシュ・ブロス、ルノワールが明日アンドレのアトリエに来るそうよ。まだ、リュー
マチが痛いらしいわ」「いい絵を描き出したのに惜しいね」「きっと、プロヴァンスの気
候が癒してくれるわ」「一緒に食事でもどうかな、手紙を書こう。いろいろ絵の話しも、
したいしね」ここセグレの村に、60年程前住んでいた画家ブロスとドラクロワの会話。
友人エディー宅の前々の所有者で、そこをアトリエに使っていた。二人の絵は、アミー・
ド・セグレが管理していて、現在も年に一度、サントン人形のお祭り時に、古いチャペル
で公開される。ムッシュ・フラッシェ、フロニエ、ゴルフ、村の旧家には必ず彼等の絵が
飾ってある。生活のため、村人に絵を買ってもらった。ブロスの絵は、コロー風で、当時
の村の様子が忠実に描かれている。マダム・ドラクロワの方は、黒地の板の上に、花の絵
が多い。作者との面識はないが、いつも絵を通しての会話がある。これが絵の持つ本来の
意義か。