(90)骨組みだけの ワーゲン


             

「スザーンのワーゲンがなくなった」「今皆で近くを探してるんだ」「見つかるといいね
」「元のままは難しいね、他国で転売するから」「警察は?」「当てにならない、自分で
探すしかないさ」「保険は」「盗難保険と言っても、3分の1位しか戻ってこないしね」
「フムーン」ドイツからやって来たスザーンの車が、村の駐車場に置いていて盗まれた。
観光客でごった返し、夏場は特に注意が必要。「鍵はかけてたの」「勿論、電気の配線を
変 えるからエンジンはすぐかかるよ」ホロ付きの車で布の部分をはがされたらしい。ヨー
ロ ッパは、他国と車での移動が多い。自然、盗難、発見、転売もややこしくなって来 る。
結局、3日後20キロ離れたカーポントガの街で、身ぐるみ剥ぎとられ骨組みだけの ワー
ゲンを発見。勿論エンジンなし、運転不能。折角のヴァカンスが盗難にあって台無し 、気
の毒になって慰めると「トンピー仕方ない、命があるからいいさ」発想の転換も早い。

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(91)恋人・アネッテ