「酔えるね!プロヴァンス」いつもの道端で制作している。何度となく見る風景だが飽き
が来ない。光のコントラストがドラマチックだ。隣村のサブレに次第にスポットライトが
当たる。ぶどう畑の緑に点在する家壁の白、糸杉の黒、幾様に走る道の黄色。見上げると
広がる空。ミストラルが残した雲のデッサン。その中を突き抜ける燕。時計台の鐘が鳴る
。十時。足元には、トラノオの紫、レモンイエローの蜘蛛が動く。水に映る青い雲。オタ
マジャクシが泳ぐ。「サリュー、トシオ」エディーが車で通りかかった。「ヴェイゾンに
行くけど買い物は」「ヨーグルトを一ダース」「ア・トゥ・タ・ロー」パレットには、感
動の色が並ぶ。赤・青・黄、白いキャンヴァスに絵筆が走る。抑揚の黒が面を遮る。次第
に歌い出す画面、「ショント、ショント、ショント、歌え、歌えプロヴァンス、この感動
、至福、友情を」色彩のオーケストラ、この大地と共に歌おう、さあ創造意識の展開だ。