(39)絵のはなし 3


「もっとおもしろい絵の描き方は、ないだろうか」一度試みたやり方は、二度目は、感動
が薄い。絵を描くということは、外を見るのと同様内面を見つめることか。「考えるだけ
ではつまらない」「体の機能が全開して、エネルギーを生み出すようでなければ」いろい
ろ考え始める。「これまでの車をモデルチェンジして新しいエンジンを作ろう」「もっと
速く走れるエンジンがほしい」自分捜しは、感動捜しでもある。「自然の光。どう色とし
キャンヴァスに取り込めば感動が再現出来るのか」セザンヌの言う再構成が頭をよぎる。
試行錯誤をして、友人達に絵を見せる。「この絵は、嫌い」「どこが」「黒を使っていて
気持ち悪い」心地よさも、絵の要素か。気持ちは、ますますぐらついて来る。「今回も核
心に近づけないまま、ここセグレを発たなければならないのか。」セグレの滞在は、いつ
もこの調子で終わる。絵との関わりはこの調子で一生私に付きまとうように思えて来た。

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(40)絵のはなし 4