
(36) マイク、シンディー
「マイクは、どうするの」「私は、行かないよ。悪いけどね」明日の遠足の話しをしている。
ニューヨークから来たマイクとガールフレンドのシンディー。「トシオさんは、行きますか」
シンディーが日本の高校にいた経験があるのでさん付けの日本語もうまい。「エクサン・ブロ
ヴァンスは、一度行きたいと思っていたんだ」「画家にとってはそうだよね」マイクは、絵は、
描かないが、アトリエ・ドゥ・セグレでアシスタントをしている。年も近いせいかよく気が合
う。自分の意見をきちんと言えるのでいつも参考にしている。昨日ボスのムッシュ・ラングレ
ットとオランジュの展示会に行って展示方法について口論をしたらしい。帰って来てからボス
と口も聞かない。「行かなくていいの。これも仕事じゃないの」心配して尋ねると「扉のペン
キ塗りも残ってるしここにいるよ」アメリカとドイツ、若者と年配者、そして自分の意見、第
三国のフランスで、自分をしっかり持ち主張する青年マイクの姿は、非常にすばらしく見えた。
(37) トーマス