(32) ヴェイゾン・市場
毎週火曜日は、７キロ離れたヴェイゾンの街でマクシェ( 市場 ) が開かれる。近郊の町村
から数千の人でにぎあう。「行ってきます」幸子もクリスチアーヌと毎週買い出しに出
かける。「今日はルシアンが来る日だから、日本の肉じゃがにしよう」醤油としょうがは
、ベェトナムのおばちゃんの店、野菜は役場の前の出店、ザネラの肉屋で牛肉、雑貨はス
ーパーマーケット。「ボンジュー、サチコ」「ボンジュー、マーチン」花や果物を売
るマーチンと挨拶のキス。「メロンの熟れて割れたのがあるけど持っていかない」「いい
の」「見栄えが悪くて商品にはならないわ」「いつもありがとう」夏場は、観光客が集ま
るので大混雑になる。歓声、かけ声、車の音、チーズ、野菜や果物の水々しい香り、魚の
生臭ささ、プラタナスの葉を通す光、ミストラルが樹木をなでる。椅子、帽子、鞄、シー
ツ、ジャム、アクセサリー等々、ここには、いつもプロヴァンスのエネルギーがある。
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