(33)てんぷらパーティー


フランスでも人間関係は、むつかしい。ルシアン宅に滞在している時、いつも食事に招待さ
れてばかりなので、てんぷらパーティーを思い立つ。私に出来る日本料理の紹介だ。「ムッ
シュ・ラングレット、今度ルシアン宅で食事をしましょう」アトリエ・ドゥ・セグレの経営
者で画家のラングレット夫妻、それにラングレットの親友で定年退職しアヴィニオンの近く
に住むデジャグダン夫妻に声をかける。「ルシアンは、いるのか」「もちろん」「それなら
私はいかない」「なぜですか」「あいつは、嫌いだ」「しうがないな」私もフランス風にか
ぶりを振ってしまう。後でルシアンに聞くと友人の差別のことで口論になり家からつまみ出
されたことがあるという。「トシオ。ちょうどその日はグルノーブルに帰る日だから僕は失
敬するよ」人選も難しい。人数、年齢、相性、性別、職種、いろいろ考えて招待客を決める
。ホスト役に撤して、いい思い出を作ってもらう、フランスで身に付けたノウハウだ。

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(34) ブパターの学生