(31) リナ初めての美容院


「里奈、美容院に行く?」「美容院って髪を切る所?」「そうよ」「行く、行く」10才に
なる里奈のフランスの思い出に、美容院でカットする。これまでは、親が切って体裁を整え
ていたが、「里奈もジョヌフィユ(少女) になって来たし、お洒落を身に付けてもらおう」幸
子の発案だった。6才のドーテは、赤い口紅を塗って学校に通う、小学生でビアスを耳にし
ている子供を、よく見かける。フロニエ家の孫セシールの誕生会で同年代の少女を見て女性
に目がないアンドレが「里奈は、ジョヌフィユになった」と、感慨深そうに言っていた。私
にその配慮があまりないのか、フランス人はこの辺の変化に敏感だ。おめかしをした5才の
娘が「どうパパきれい?」スカートの裾を少しめくりながら網柄のパンストを見せる。「ウ
ムーン。とってもすてきだよ」褒め方も心が入っている。親の子に対する養育でもいろいろ
勉強させられる。さて、美容院で変身した里奈、親子で感動、何枚も記念写真を撮る。

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(32) ヴェイゾン・市場