(30) ノート紛失


大事件。「ヴ・ザヴェ・デ・カイヨー」幾度もリヨン空港に電話する。住所を書いたノー
トを空港で紛失。日本や外国の友人500人の名前と住所を記録、手紙や個展の案内にい
つも使っていた。「失って始めて知るありがたさ」「発見次第お知らせします」いつも答
えは同じ。一緒にいた幸子・里奈もいつの間にか「ヴ・ザヴェ・デ・カイヨーノートあり
ましたか」言葉は、状況と繰り返しでいつの間にか身に付くいい例だ。ギリシャまで旅行
途中のリヨンアトラス空港で、リュックサックのポケットから落ちたらしい。受け取った時
チャックが空いていた。税関事務所で事情を説明したがノートは、わからなない。100
0万円紛失した位の気持ちで落胆、途方にくれる。セグレの村に戻って、冬の寒空、朝もや
の光に感動し制作していると「ヴ・ザヴェ・デ・カイヨー」遠くから幸子・里奈が大声を
出しながら近づいて来る。ちょうど日本から来た郵便封筒の中に入れていたあのノートが
そのまま郵便で戻ってきた。

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(31) リナ初めての美容院