(27)レッド


レッドは、アメリカオハイオからやってきたアメリカ人。会社を退職して老後をここプロ
ヴァンスで一人で過ごしている。隣街のヴェイゾンに住んでいて、火曜市場がある時には
カフェーチャンピオンの屋外の座席に座っている。「ハロー、レッド。ハワユー」プラタ
ナスの木の横に彼の指定席がある。「オウ、トシオ。ハワユー」握手を求めてしばら
く立ち話。フランス語は、苦手でいつも英語。「最近ジェームスやグレッグには、会うか
い」「サン・ローマンの村で元気にやってるよ」同じ画家仲間でなかなか会う機会のない
二人の情報は、レッドを通して聞く。「今度一緒に食事をしようといってたぜ」「いつ」
「来週の日曜」「オーケー」レッドは、もの静かな紳士でインディアンスー族の血をひく。
同じアパートの上階に住むスウェーデン人キャサリンの買い物に車を運転して同伴する。
いい仲らしい。「キサリンは友達さ、お互いに国から離れて寂しいからね」それ以上の説明 はない。

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(28)遠足・オランジュ 1