
(26) マリオン
「ボンジュー、マリオン」「ボンジュー、トシオ」マリオンは、いつも静かだ。アメ
リカのデトロイトから来て、もう一ヵ月もフロニエ宅に滞在している。20代の黒人男性。
昔第二次世界大戦が終わった頃知り合ったアメリカ兵の遠縁に当たるとクリスチアーヌが説
明した。わが家に遊びに来て、絵を見ながら「トシオ、絵の方の調子はどう」「がんばって
るよ」お互いに外国語のフランス語で話しをする。絵は、あまり関心ないがお愛想だ。思い
やりは、日本人並みにある。「アメリカに戻ったら何をするの」「うーん、多分大学に残っ
てバクテリアの研究をする」「ふーん、マリオンは、化学者なんだ。」幸子も時々質問を入
れる。「もうすぐクリスマス、マリオンわが家で今度一緒にをしようよ」幸子のヌ・ザロン
・モンジェが始まる。「ありがとう、うれしいよ」関心のある友人には、必ず声をかけて日
本食をご馳走した。会話もはずむし、日本の紹介も出来て喜ばれた。
(27)レッド