(8)絵の話し 1


  プロヴァンスに来るに当たっては、2、3 理由があった。学生の頃、演劇で見た「炎の
人ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」の印象、サン・ヴィクトワール山を描いたセザンヌ、
当時(1970年代) エクスに住んでいたピカソ。なぜ、彼等が何仏に来たのか。又、フラン
スの文化を生活の中から感じたい。例えば、言葉、家の建て方、料理の方法、等々。油
彩の技法を美術学校で学ぶことは、全く考えなかった。教えられる物ではなく、自分で
捜す、見つける物と決めていた。都会暮しに飽き飽きしていたので田舎でのんびり過ご
すこともあこがれだった。プロヴァンスの良さを聞かれた時まず上げるのが、澄みきっ
た光だ。木の葉を突き通して来る光。白い岩に反射する光。黒い糸杉の中に吸収される
光。自然を見ているとこれまで気付かなかった色々なことが観察できた。「この感動」
私の表現したいのはこれだ。最初からテーマは、決まっていた。

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(9)絵の話し 2