(4)セグレ村着


  プロヴァンスの田園は静かだ。バスの窓から画集で見た懐かしいモチーフが次々と飛び
込んで来る「あっ、糸杉だ。あれが、ぶどうの木か。オリーブの木も」見知らぬ土地に
身を置く不安と物珍しさ。これまでゴッホやセザンヌの画集で見たプロヴァンスの景色
が手の届く所にある。これから私自身とどう馴染んでくるのか、俄然闘志が湧いてくる。
村中のカフェーでバスが停車。テーブルが外にいくつも並ぶ。もう夕方近く、年配の男達
がカードを楽しんでいる。何のゲームだろう。突然「ションジェ・イシー、ションジェ・
イシー」運転手が指を差す。バスを乗り換えろといってるらしい。既に、フランス語の勉
強が始まっている。「このバスで大丈夫何だろうか」悪いことは、想像し始めたらきりが
ない。「大丈夫、私に間違いはない!」バスを乗り変え20分程で目的地のセグレ村に着
く。バス停から見上げるとそこには、岩の塊の中にオレンジ色の屋根が続く。「ここが私
の仕事場だ!」

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(5)村人との出合い