(3)アヴィニョン・プロヴァンス


  長旅のせいか時差も関係なく朝までぐっすり眠った。本当にフランスに来たんだよな。確認
  するために再び窓を開ける。通りには、紛れもないパリの労働者が青い作業服を着て歩いて
  いる。フランス語を話している。「まちがいない」アヴィニョンまでの切符を買って南仏行
  きの列車に乗る。片側が通路になり、6 人用の客室だ。「フランスっぽい」ひとり感心して
  いると車掌が来た。切符を見せるとなにやらまくしたてる。ここは1 等車なので料金を払え
  と言っているらしい。2 等を捜して移動するには荷物が重く言うことを聞いた。「トンピー
  しかたない」アヴィニョンまで7 時間荷物も心配でずっと立ちづくめだった。車窓には、上
  空から見た丘陵地帯が続く。乳牛や羊がのんびりと草を噛む。次第に日差しが強くなる。白
壁に重なる空の青が眩しい。「アヴィニョン」聞き取りにくい車内放送が流れる。中世の砦
で囲まれたアヴィニョンの街、目的地のセグレまでもう一息だ。

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(4)セグレ村着