(18)アトリエ・ド・セグレ 2


オーナーは、アーサー・ラングレットと言う恰幅のいい初老のドイツ人。創業は、1957
年。彼も画家でパリで絵を描いていた。ピカソやレジエその他百人程のパリ在の画家から集
めたサイン帳を宝物として持っている。20代にプロヴァンスに来てからも制作を続け、ド
イツ・フランスで作品展を開いている。傍らアトリエ・ド・セグレの経営を始めた。運営の
方は奥さんのブリジットが切り盛りしている。長身で美人のドイツ人。彼女は、仏・独・英
それにスペイン語を話す。頭の回転が良く世界から集まってくるアーチストの面倒を手際良
くこなす。夫婦間ではドイツ語、客に対しては英語・仏語。「外国に来ているな」と言う実
感を持つ。残念ながら彼は昨年なくなった。息子のノーベクトが後を継いでいる。ブリジッ
トもまだまだ健在で、ノーベクトの嫁さんサビンが台所で主権を振るうのは、まだまだ先の
こと。それでもアトリエの変化は、私の村の歴史に照らし合わせて感慨深いものがある。

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(19)幸子とプロヴァンス 1