1999年度ライソゾーム病全国調査
ジェンザイム・ジャパンの藤原さんより、以下の連絡がありました。 昨年お約束いたしました、ライソゾーム病の全国調査を4月中に実施いたします。当初は2月におこなう予定でしたが、医師の転勤・移動の時期などを考慮して、それらが一段落した4月に実施することにいたしました。弊社ジェンザイムでは1998年、3月に、すでにわたしどもがゴーシェ病患者を確認している病院をのぞく、全国ベッド数200床以上の病院の小児科、内科、整形外科、約4000件に患者の有無を問うた往復はがきを出し、最終的な回収率は32%でした。 今回は、ゴーシェ病以外に、弊社が臨床試験を予定している疾患
を調査疾患対象とし、全国5000件を予定しております。 これに加え、高橋さん名で、弊社が調査協力という形でMLDを調査対象疾患にしたいと考えております。 もちろん、調査内容はConfidentialとし、MLDの調査に関しては高橋さんにお渡しする事も明記いたします。 医療機関に対する全国調査は前からやりたいと思っていて、実は一度は全国の大学病院などを200件ほどピックアップして質問票と来院者向けの掲示用のチラシを作り、宛先のタック印刷までやったのですが、MLDだけでやるか、他の白質ジストロフィーも含めるかなど、調査範囲に迷ったこと、忙しくなったこともあって、そのままにしてしまっています。今回のジェンザイムのご協力はまさに渡りに船で、たいへん感謝しています。このような調査の場合、どの病院がどれだけ患者を抱えている(いた)かはわかっても、患者の個人情報はフィードバックされないはずなので、調査結果が出た時点で、患者と連絡がとれる見込みのある医療機関に対して、あらためて患者組織の通院患者への紹介を依頼する手紙を書こうと思ってます。 なお、現在、Krabbe病の患者の家族とも連絡がとれており、Krabbe病はMLDとも近く、またライソゾーム病であることから、なんとかこれも調査対象に加えていただけないかと交渉中です。 最近、リソソーム病であるファブリ病が厚生省によって特定疾患治療研究事業の対象疾患に追加され、これによって治療に伴う医療費の患者自己負担分が、1999年4月1日から公費で賄われることになりました。新薬の治験にしても、このような公的負担の実現にしても、全国の患者の実態が明らかにならないことには先に進みません。実際にファブリ病に関しては98年にそのような調査が行われています。 今回の調査が、MLDや白質ジストロフィーに対するそのような動きのきっかけになることを祈ります。 (1999/3/30) 掲示板をご覧の方はすでにご存じのように、藤原さんのご厚意でKrabbe病が調査対象項目に追加されました。また、たくみんさんから掲示板でALDも調査対象にできないかという要望があり、これも(ALDはライソゾーム病ではないのですが)調査対象に加わりました。 この調査自体は、返信用はがきに「現在フォローアップ中の以下の疾患」が「ある(何例)」「ない」「疑似例」で応えるという簡単なものなので、直接的には全国的にどの程度患者がいるかという程度しかわかりません。なお、藤原さんの推定では回答率は25%程度ではないかということです。ただ、症例が「ある」と答える病院がわかると、患者の会の方からその医療機関向けに「こういう活動をしているので、受診者に紹介して欲しい」という連絡を入れることができるようになると思います。なお、返信の締め切りは5月末日となっています。 また、今回の調査とは別に、ジェンザイム社のリストをもとに、直接MLD、GLD(Krabbe)、ALDの患者(がいそうな病院)に患者会への参加を呼びかける資料を送付するという計画も進めています。 (1999/04/10) ジェンザイムの担当者より、5/10にアンケートはがきを投函、すでに30通ほど返信があった(そのうちロイコジストロフィー関係の反応があったかどうかは不明)との連絡がありました。 また、掲示板にも藤原さんより次のような報告がありました。 >対象は全国の病床数150床以上の病院の小児科、内科、神経内科、整形外科の診療科 調査結果については1999/5/31でいったん集計することになり、その結果のALD、MLD、クラッベ病に関する部分がジェンザイムより送られてきました。全国150床以上の医療施設の小児科・内科・神経内科・整形外科の4診療科部長宛にゴーシェ、ファブリー、MPS-I、ポンペ、MLD/クラッベ、ALDについて患者の有無を問い合わせた結果です。8,329診療科に送って2,499診療科から5月末時点で回答が来ています。単純計算で回答率30%程度ですが、単独調査でないので、そのあたりは加味しなければならないかもしれません。たとえば、実際にはロイコジストロフィーに限ると整形外科に患者がいる可能性は少ないはずですが、調査全体の回答診療科の内訳では小児科864に対して整形外科565というように整形外科の回答率が高かったりして、単純に今回の調査でロイコジストロフィー患者がいそうな病院の30%について調査できたとは言えないでしょう。また、ロイコジストロフィー患者が確実にいると思われる病院が回答していない例(たとえば楓子の通院している東京女子医大)もかなりあることを確認しました。 また、調査結果には死亡例、他の医療機関への転院、骨髄移植だけを行った、といった例もあがっています。調査用紙の項目の関係で、一部MLDとクラッベのどちらかわからない回答もあります。 以上のような前提はあるにしても、今回の調査で全国のロイコジストロフィーの患者数についてはある程度の目安が出てきたのではないかと思います。調査結果の詳細はここで紹介することはできませんが、おおざっぱにいうと、ALDが類似例を含めて60人、MLD/クラッベが16人という結果になっています。ただし、この数字には先に書いた死亡例などもカウントされているので、今回の調査で存在が確認できる患者数、ということになるともっと少なくなります。回答率なども考え合わせて、実際の患者数はこの3〜4倍程度、つまりALDが200人強、MLDが50人程度、クラッベは10人以下といったところじゃないでしょうか。 ただし、このALDの患者にはAMNなど成人型の症例も含まれます。調査結果でも小児科ではなく神経内科でALD患者がいると報告しているところがかなりあり、これは成人型なのではないかと私は想像してます。逆に、MLDの方は、論文などでは成人型の症例もかなり報告されていますが、今回の調査でいると回答した診療科は小児科中心で、予想外に成人型が少ないと感じました。 患者の分布はあたりまえのことですが、北海道から沖縄までほぼ均等に分布してます。人口比からすると首都圏や京阪神の比率が意外に低くて、なぜか東北や九州が多いような気がしますが、あくまで印象です。ALDに関しては、同じ病院で複数の患者をフォローしているところが何カ所かあることもわかりました。 今回の調査結果を元に、こちらから患者の存在を確認できた医療機関に連絡して、その患者の家族との接触をはかるという作業をロイコジストロフィー患者の会(の設立準備委員会)で進めてます。なにかこの件に関してご意見、あるいは協力できることがあるという方はご連絡下さい。 最後に、この調査に関しては、藤原さん、田原さんをはじめジェンザイム・ジャパンの皆さんの多大なご協力をいただきました。というより、ジェンザイム・ジャパンのご厚意に甘えてただ乗りさせてもらっただけなんですけど。今回の調査は今後のロイコジストロフィー患者、家族の状況を改善していく上で大きな一歩だと思います。関係者一同のご尽力に改めて心から感謝いたします。 (1999/06/06) ジェンザイム社より6月末締めの追加データが届きました。ALDが6人分、クラッベが1人です。(1999/7/18) 調査で「患者がいる」と回答した医療機関へ、患者のご家族にロイコジストロフィー患者の会などの活動を紹介して欲しいという以来の手紙をいよいよ送付しようと思います。とりあえず、私担当のMLDの患者のいる5つの医療機関(ただしそのうち2つはすでに連絡が取れている患者の可能性が高い)、MLD、krabbeのいずれか不明の6つの医療機関に送るつもりですが、一部はALDの患者もいる病院です。そのあたりも勘案して、文面を作ってみたのでご意見をお寄せ下さい。 ●ロイコジストロフィー患者の会への協力のお願い 医療機関の皆様 暑さ厳しいこのごろ、みなさまいかがお過ごしでしょうか。さて、わたくしどもロイコジストロフィー患者の会は、以前より国内における幼児、小児型ロイコジストロフィー患者の家族の相互連絡、最新医療情報や日常的な療育の情報交換などを行ってきましたが、国内の患者の実態の調査及び、まだ会の存在をご存じないご家族とのコンタクトを目的として、去る5月にジェンザイム・ジャパン様が実施された 1999年ライソゾーム病全国調査に協力させていただきました。回答をお寄せ下さいました医療機関の皆様に、会の活動状況をご説明させていただくと共に、フォローアップされているロイコジストロフィー患者のご家族に会の存在についてお知らせ願えないかと考え、ご連絡させていただいたしだいです。【ロイコジストロフィー患者の会について】 稀少難病であり、治療法が確立されていないロイコジストロフィー患者を抱えた家族にとって、同じ疾患の患者を抱えた家族との交流、情報交換は大きな意味をもちますが、残念ながら国内ではそのような交流の基盤となる組織がありませんでした。「ロイコジストロフィー患者の会」はそのような患者の家族同士の交流の場を確立するとともに、国外の患者団体との連絡、患者と家族と医師、製薬会社、行政との協力の窓口となるべく、本年5月より正式な発足を目指して調整作業中です。ロイコジストロフィーの中でも最も患者数が多いと思われる ALDに関しては数年前より、主にロレンツォ・オイルの配布を通じて連絡のとれた複数の患者の家族が連絡網を作っており、また、MLDに関しても、数年前よりインターネットのMLD HomePageおよび会報MLD Supporter's NEWSを通じて同様の活動を行っております。ロイコジストロフィー患者の会は、これらの活動を母体として、幼児・小児型ロイコジストロフィー患者全体の連絡会として機能しております。【 ALD連絡網について】ALD三重の笹岡が中心となり、全国の20家族程度が連絡をとっています。特に会報の発行などの活動は行っていませんが、新しくALDと診断されたご家族への情報提供などを行っています。ご存じの通りALDに関してはロレンツォ・オイルの他に骨髄移植が国内でも成功例があり、現在も移植中、移植待ちのご家族が複数いらっしゃいます。また、4PB、ロバスタチンなど、新たな療法も検討されており、これらの臨床試験に患者サイドから協力するための窓口としても活動しております。 ※連絡先 【 MLD Supporter's NEWSについて】現在連絡がとれている国内の MLD患者は乳幼児型8名7家族、若年型2人2家族です。これに加えてKrabbe病1名1家族が連絡をとっており、隔月のペースで会報を発行しています。代表は東京の高橋です。現在6号の編集作業中です。※連絡先 【 MLD HomePageについて】基本的には MLDに関する情報の普及、患者の家族の交流を目的としたホームページですが、MLD以外のロイコジストロフィー患者、あるいはそれ以外の関連のある小児難病の家族の交流の場所として機能しています。なにぶん、患者数が少なく、患者の家族は全国に散らばっており、実際に会うのは容易ではないため、ロイコジストロフィー患者の会の活動も、このホームーページをベースにして行われています。また、ALD連絡網、MLD患者の会/MLD Supporter's NEWS会員は患者のプライバシー保護のために基本的に患者の家族以外にクローズドな活動を行っているため、対外的な窓口はこのMLD HomePage及びロイコジストロフィー患者の会が行うことになります。URL <http://www.bekkoame.ne.jp/ha/mld> e-mail:mld@ha.bekkoame.ne.jp■患者のご家族へのご紹介のお願い ロイコジストロフィー患者の会やその他の活動は、患者の家族の自発的な意志に基づいて行っています。患者のご家族への呼びかけはインターネットの他、新聞、雑誌などさまざまな機会を利用して行っていますが、患者数が絶対的に少なく、また全国に点在していること、治療法が確立されていない疾患が多く、患者と医療機関の関係がそれほど密でないこと、患者の家族の負担が大きく、なかなか社会的な広がりのある活動に参加することができないこと、といった事情もあり、そのような活動が存在することをお知らせし、連絡を取り合うこと自体が難しい状況です。ぜひ「ロイコジストロフィー患者の会」の存在と連絡先をお伝えしていただけるよう、ご協力をお願いいたします。なお、患者のご家族へ直接お渡しする資料として別紙(ロイコジストロフィー患者の会を作りませんか)を用意しました。 ■ロイコジストロフィー患者の会の活動へのご協力のお願い ロイコジストロフィー患者の会の活動に当たっては、関連する専門分野の研究者、医師の方々のご協力はいただいていますが、基本的にその知識はそれぞれの家族の体験をベースにしたものであり、非常に限られた範囲のものです。このような活動にご理解、共感をお持ちの医療関係者の皆様がボランティアで参加していただけると活動の幅が広がります。実際にロイコジストロフィー患者をフォローされているかどうかに関わらず、できる範囲でのご参加をお待ちしています。治療法の確立されていない稀少な先天性代謝異常症には患者会はほとんどなく、このような呼びかけに対してロイコジストロフィー以外の疾患の患者のご家族からの連絡もしばしばですが、ロイコジストロフィー患者の家族が行っている活動であるという性格上、そのような方にはどこに連絡すればいいのかというアドバイスさえできないのが現状です。実際にロイコジストロフィー患者の治療にあたった経験のある皆様がアドバイザーなどの形で協力していただくことは会の活動に大きな意味があります。 ■連絡先 ロイコジストロフィー患者の会については、現在事務局のようなものは設置しておらず、各疾患の代表からなる準備委員会が相互に連絡をとりながら作業を進めております。 MLD HomePageの高橋が全体の調整役をしておりますので、高橋あてに連絡していただけばそれ以降のその患者のご家族との連絡は適当な人間を紹介できますが、ロイコジストロフィー患者の会への参加とは別に、同病の患者のご家族と連絡がとりたいという方のために連絡先をあげておきます。 MLD患者代表 高橋洋 ※連絡先ALD患者代表 あいこう ※連絡先 クラッベ病患者代表 とおいパパ ※連絡先 ロイコジストロフィー患者の会 高橋洋 (以上)
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※このWebサイトはあくまで患者の家族が個人的に作成したものです。医学情報の扱いにはご注意ください。 |