Fabry病治療薬「α-ガラクトシダーゼ」

 

WB00955_.GIF (255 バイト) 発端 WB00955_.GIF (255 バイト)

99/1に住友製薬が米国トランスカリヨティックセラピーズ社と α-ガラクトシダーゼ Aの開発・販売契約を締結したというニュースがありました。α-ガラクトシダーゼの活性低下によって、CTH(糖脂質セラミドトリヘキソシド)が蓄積するX染色体性遺伝病がFabry病であり、おそらく酵素療法に使うのではないかと思います。まったく偶然ですが、私の幼なじみが住友製薬で働いているので、問い合わせてみました。

→住友製薬、米国トランスカリヨティックセラピーズ社と α-ガラクトシダーゼ Aの開発・販売契約を締結

WB00955_.GIF (255 バイト) 速報 WB00955_.GIF (255 バイト)

詳しい資料を送ってくれたということで、いまその到着を待っていますが、だいたいの状況について、彼のメールを紹介します。


αーガラクトシターゼAについて、すでにご承知の通り当社、住友製薬本年1月に米国 トランスカリョティックセラピーズ社と開発販売契約致しました。この薬は、本年秋頃で臨床試験が始まります。発売前は治験といってフェイズ1からフェイズ3まであります。そのデータ結果厚生省の許可があり認可となります。フェイズ1は健常人の男性で体内動体、毒性等調べます。フェイズ2には前期、後期にわかれ少数の患者に用量試験等します。フェイズ3では多くの患者にて他剤との比較試験等します。しかしこの薬は多分(間違なく)オーファンドラックといって(稀少医薬品)に指定され、色々優遇処置があります(治験のある1部が削除さる等)。といった所で発売までには7年から8年かかる見通しとの事 先日偶然にも当社開発αーガラクトシターゼA担当の人と一緒にに仕事する機会があり相談した所、色々文献を送ってきて頂きました、ご参考にしてください。またデオキシガラクトノジリマイシンで文献検索致しまいたが、本社からみつからなっかとの事あと文献検索もついでにしたので参考にしてください。


なお、「デオキシガラクトノジリマイシン」というのは、住友製薬の発表のすぐあとに報道された東京臨床医学研究所が開発した、ガラクトシダーゼの酵素活性を向上させる薬です。

(1999/3/20)

title_cube_gold.gif (255 バイト) 住友製薬のスケジュール title_cube_gold.gif (255 バイト)

・住友製薬の本社に問い合わせてもらったところ、α-ガラクトシダーゼAは米国では2000年にFDAに申請し、2001年に認可が下りる予定ということです。

title_cube_gold.gif (255 バイト) 特定疾患治療研究事業 title_cube_gold.gif (255 バイト)

・1999年3月に厚生省はファブリー病を特定疾患治療研究事業の対象疾患に追加し、自己負担分が補助されることになりました。

(1999/3/30)

title_cube_gold.gif (255 バイト) 追加情報(ジェンザイムより) title_cube_gold.gif (255 バイト)

ファブリ病治療薬については、このサイトがいつもお世話になってるジェンザイム社も手がけているということだったので、藤原さんに確認してみました。以下はその返事です。


あと、ご質問のファブリー病の酵素補充療法の件ですが、トランスカリヨティック・ セラピィー(通称TKT)の酵素は彼ら独自のGene activation technologyというバイ オ技術で製造された、酵素です。これは目的蛋白を発現するのに、そのDNAを必要 としない、どちらかというと、純粋な細胞培養法に近い技術です。ジェンザイムの方法は、ゴーシェ病治療薬セレザイムと同様に蛋白発現DNAをCHO細胞に組み込んだ遺伝子組み換え製品です。どちらの製品も、すでに安全性・有効性が確認されてお り、米国では本年中に第三相臨床試験がはじまります。弊社とTKTの競合というこ とになりますが、いままでは大手企業が見向きもしなかったこのような小さい市場に 日の目があたってきたことはいいことだと思っています。尚、弊社のαGALは現在 日本においては開発検討中です。

個人的にはTKTもジェンザイムと同じように独自のバイオ技術をもったすばらしい会社だとおもっております。 先月のウイーンでのムコ多糖症の国際会議では彼らがハ ンター症候群の酵素補充療法を今年の末から来年のはじめに始めるとの発表がありま した。この療法に関しても、日本のムコ多糖症の患者さんのために住友製薬が開発 してくれればと思っております。


 藤原さんには、現在計画中のライソゾーム病全国調査をはじめ、直接仕事に関係ない部分で患者サイドに立った(つまり、ビジネス上は場合によっては不利益を被る可能性もある)情報提供をしていただいており、大変感謝してます。患者側としては同じような薬であっても複数の選択肢ができることは歓迎ですが、このような小さな市場で競合製品が出てくると、遺伝子工学など莫大な研究費を投入した新薬開発を行っている製薬会社の方はたいへんですね。

 昨年のリピドーシス研究会でも、ファブリ病に関しての質疑応答で、その治療法の認可までのタイムスケジュールについて、「この種の治療法としては前例のなかったゴーシェ病と違って、その前例を前提として進めることができるので、開発や認可は短縮できるのではないか」といった内容の話が出てました。この分野に注目が集まり、多くの企業が参入し、医療の現場で実績を積んで効果が確認されるということは、まだ治療薬が開発されていない疾患に今後新薬がみつかった場合、それが実際に患者のもとに届くまでの時間を、少しでも早くすることにつながるのではないかと期待します。

(1999/04/10)


title_cube_gold.gif (255 バイト) 臨床試験 title_cube_gold.gif (255 バイト)

7月に開催されたジェンザイム・ライソゾーム・セミナーでの情報では、すでに国内で治験が始まっているようです。ゴーシェ病の酵素補充療法がほとんど副作用がないのに対して、ファブリー病の場合は若干あるようです。詳細は不明です。

(2001/07/27)

 


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