編笠山は八ヶ岳連峰の最南端にある山で、以前は八ヶ岳縦走の最初か、ある
いは最後に登るのが一般的だったのですが、最近は単独で登る方も多いよう
です。小淵沢からみる編笠山は、裾野の長い優しい顔をしていますが、なか
なかハードな登りが待っています。
日帰りの場合は、JR小淵沢駅からタクシーを利用して観音平まで入りましょ
う。広い駐車場があるので、自家用車の場合はここに停めることになります。
駐車場の一角にある案内板のそばから登山道に入ります。笹の中のゆるやか
な道を登ると、やがて傾斜が増してきます。樹林を抜けると「雲海」と呼ば
れる展望台に着きます。南に開けた展望地で、富士山や南アルプス方面を望
めます。ここまでは、観光客が軽装で登ってきます。
雲海から岩混じりの道を歩き、薄暗くなった樹林帯の中を進みます。小さく
開けたところが押手川(おしでがわ)で、ここから右に進めば編笠山をぐるっ
と巻いて青年小屋に続くトラバース道、直進すれば編笠山への道となります。
直進する登山道を進み、編笠山の頂上に向かいます。傾斜もぐっと増し、大
きな岩がゴロゴロと転がっています。押手川から編笠頂上までは400m以上の
高度差を一気に掛けあがることになり、なかなかハードな登りなので、気晴
らしに後方の南アルプスの景色をみつつ、喘ぎながら登っていきます。鉄梯
子を登り、森林限界を越えると、頂上に向かって一直線に伸びた登山道が突
き上げています。「あともう少し」と思いながら登り続ける道は、何度歩い
てもつらいものです。
急斜面を登り詰めると、突然「ポッ!」という感じで頂上の一角に出ます。
編笠山の山頂はだだっ広い場所で、大きな岩がゴロゴロと転がっています。
北方にはギボシ、権現岳、阿弥陀岳、赤岳など、南八ヶ岳の岩だらけの山々
が間近に並んでいます。北西には北アルプスの峰々が遠望できるほか、さら
に視線を左に転じていくと、中央アルプス、南アルプス、富士山、秩父の山々
など、360°の大展望が広がっています。ぼ〜っと眺めているだけで、時間の
経つのを忘れてしまいそうです。
下山の際は、編笠山の山頂から往路をそのまま戻っても良いのですが、いっ
たん北面を下り、青年小屋に降りましょう。登山道は直線的に続き、小屋は
すぐそこにみえるのですが、岩のゴロゴロした道が下りにくいので、なかな
か思うように足が進みません。ガスが発生したら迷いやすいので注意が必要
です。青年小屋の近くには「乙女ノ水」という水場があるので、一休み。
青年小屋から編笠山の東面を巻き、押手川まで戻ります。等高線をそのまま
たどるような樹林帯をゆるやかに巻いて、岩混じりになった道を下れば押手
川に着きます。押手川から先は、来た道を忠実に戻ることになります。観音
平からタクシーを呼んで小淵沢の駅まで戻るか、時間と体力に余力があれば、
2時間ほどの下り道を徒歩で楽しんでも良いでしょう。
<問合せ先>
小淵沢町役場 0551-36-2111
http://www.yatsu.gr.jp/kbc/
青年小屋 0551-36-2251 (要予約、素泊り可)
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@ひとっ風呂 <スパティオ小淵沢 延命の湯>
観音平から小淵沢駅に下る途中のリゾート施設「スパティオ小淵沢」の中の
温泉が「延命の湯」です。源泉は60度で、地下1500mから湧き出しています。
内風呂のほかに、サウナと2つの露天風呂があります。ミネラルがたっぷり
入ったお湯が肌をスベスベにしてくれます。男湯と女湯は1ヶ月ごとに交替す
るとか。チケットにスタンプを押してもらえば、休憩所と浴室の間を何回も
往復できます。
宿泊施設やレストランもあり、地元の農産品も売っています。夜遅くまで営
業しているので、中央高速道が混んでいるときは、ここでのんびりしてから
東京に向かう人も多いようです。
<場 所> 山梨県北巨摩郡小淵沢町2968番地1
<電 話> 0551-36-6111
<料 金> 大人 600円、小学生 300円
<営業時間> 10:00〜24:00
<休 館 日> 夏季無休(その他は第一月曜日)
<泉 質> ナトリウム・塩化物・炭酸水素塩温泉
<効 能> 神経痛、筋肉痛、関節痛、慢性消化器病、切傷、火傷、打ち身、
五十肩など
*山の状況は変わっておりますので、表示ルート・内容が異なる場合もございます。
地域の山小屋、観光課などにお問合せの上、自己責任において登山を行なって下さい。 |