12月5日 今日は戦争記念館へ。行く予定ではなかったのだが、昨日の板門店ツアーで朝鮮戦争(韓国では韓国戦争と呼ぶ)への興味を大いにそそられたからだ。戦争記念館は地下鉄の三角地(サムガクチ)駅の近くにある。地下鉄で移動して、9時半には到着。
ここも巨大な施設である。日本人が多く訪れるためか、音声による日本語のガイドがある。3000ウォン払って受信機を借りる。適当な身分証明書を持っていなかったが、泊まっているホテルの名前と部屋番号を教えることで、赤い色をした受信機を借りることが出来た。
ガイドによれば、ここ戦争記念館は、朝鮮戦争の歴史的事実を後世に伝えるためというのが本来の設立の目的であるため、朝鮮戦争の資料は膨大である。しかし、これ以外にも展示物が多い。朝鮮が侵略にさらされ、それにいかに闘ってきたかという事に関する今までの歴史。現在の陸海空の戦力。その他海外貢献等の資料など。独立記念館といい、ここといい、これらの施設に対するお金のかけ方は半端ではなく、できる限りとことんやり尽くすという気概が感じられる。それは、侵略された経験のほとんどない日本人にはわかりにくい感覚なのかもしれない。
ここでは、係員が日本語を話す。日本人の来訪者は多いようで、ガイドに引率された団体に幾度か遭遇した。この日は土曜日ということもあり、入場者数は多いようだ。膨大な量の展示物に圧倒されたので、とりあえず、お目当ての朝鮮戦争絡みの展示室をまず初めに見学することにする。本来は、歴史順に展示物が展示されているということもあり、朝鮮戦争は順路としては後半の方である。展示物の説明はもちろん韓国語で表示されており、英語での説明もちゃんと併記されている。日本語は全くないが、展示ブース毎に3桁の番号が振られており、その番号をさきほど借りた受信機に入力すると、説明が日本語で聞けるというしくみになっている。
さて、展示物だが、事細かな軍事作戦やら、使用された武器やら、とにかくいろいろと展示してあるので、その手の事象に興味がある人にとっては垂涎ものであろう。さらには、戦争当時の銃後の人々の生活など、興味は尽きない。ここでも再確認されたことは、いまだに両国は停戦状態にあるという事である。昨日の板門店を思い出す。
朝鮮戦争関係でえらく時間をとられてしまったので、他の展示は足早に見学する。朝鮮戦争以外には、朝鮮の古代の歴史、近代の侵略(豊臣秀吉など)、現代の海外派兵(ベトナム戦争など)などの展示物が興味深く、全部ちゃんと見るには、まる1日は軽くかかりそうである。中には戦争体験館(見学1000ウォン)という風変わりなものもあった。
そんなこんなで、結局、見終わると14時くらいになってしまった。
帰り際、日本語解説用の受信機を返却するときに、
「これからどこに行きますか?」
と係りの人に日本語で聞かれたので、イテウォン(梨泰院)に行くのだと答えると、タクシーで行くのが良いですよと、親切に教えてくれる。
タクシーを拾おうとするが、なかなかタクシーが捕まらず、結局今回は白いタクシーに乗った。行き先を告げ、10分もかからずにイテウォンの繁華街に到着する。
ほんの数百メートルかそこらの通りの両側に露店が並び、あらゆるものが何でも売っている。衣服、小物に、ブランド品のまがいもの。そして、とにかく、日本語で声をかけられることといったら。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ」
「おお、わたしのおにいさん」
「ぷらだ、ろれっくす2000えんからあるよ」
「かわじゃんみていかない」
とにかく、騒がしい。挙げ句の果てには腕をつかんで引っ張っていこうとする。
とりあえずは、お腹が空いていたので、焼き肉屋へ入る。今日の昼食は韓国風の焼き肉(プルコギ)である。
昼食後、また、イテウォンの通りを歩き、適当に小物を買う。
この後、再びタクシーで三角地駅まで戻り、地下鉄を乗り継いで、タプコル公園に向かう。タプコル公園は中心部よりやや北にある公園である。この公園はかつて「パゴダ公園」と呼ばれており、日本侵略時代の「三・一独立運動」の発祥地でもある。現在では、老人がたくさん集まる場所になっている。
実際に、そこは老人達の集まる場所だった。しかし想像とは違い、おじいさんたちがたくさんいた。おばあさんはほとんどいない。人の多さに圧倒される。それに、ひどく場違いな感じがして居心地が良くないのも実感である。特に日本人としては。しかし、相棒はそのへん全く平気のようで、チョコを食べていた。
その後、東大門と南大門をひたすら歩いた。露店がたくさん出ていて飽きないが、夜になって、気温が寒くなり、足早になってしまう。ここでは、おみやげなどを買う。
夕食はシンチョン(新村)にて。近くに大学があり、学生街となっている。安くておいしい店が多いらしい。
夕食のメニューは豚カルビ。カルビと言えば、普通は牛であり、豚は珍しいのだが、なかなかうまい。それに、当然の事ながら、牛よりかなり安い。同じ値段だと、相当な量を食べることが出来る。満腹。
帰りに露店でみかんをたくさん買って帰った。