Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dのグリスアップ

Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dのグリスアップ

Last update24/06/2004

【Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dのピントリングと距離指標の構造】

Ai AF Nikkor 50mm F1.4D鏡筒

 Ai AFニッコール50mmF1.4Dを分解してしまった。いや、分解するつもりはなかったんですけど、なんか鏡筒がポロリと取れてしまって(汗。 そこで、今回はAi AF Nikkor 50mm F1.4Dの内部写真と、ヘリコイドのグリスアップについて、転んでもタダでは起きないという企画です(汗。

決して分解をお勧めするものではありませんし、マネをなさっても責任は持ちません。
また、ニコンSCに「こんなこと書いてるHPがある。グリスアップやってくれ。」とか無茶な注文とかしないようにお願いします。

Ai AF Nikkor 50mm F1.4D鏡筒

 Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dは、ピントリングと距離指標の位置固定をセロテープで行っている。 ピントリングのゴムをはがすと、その下に距離指標と本来のピントリングがセロテープで固定されている。

雨の日にずっとピントリングに指を掛けていたら、このセロテープがふやけてるのを発見したので、はがして貼り直そうとしていたら、鏡筒がポロリと取れてしまった(汗。 距離指標のリングは無限遠マークと最短撮影距離の0.45mの少し行き過ぎたところの間でしか回らないようになっている。 ところが、距離指標とピントリングをテープで固定してないと、ピントリングのほうは0.45mを行き過ぎてもさらに回転して鏡筒を繰り出してしまう。 調子に乗って回してると光学系全体の鏡筒がポロリと外れてしまう。

 なお、ピントリングに繋がる方のヘリコイドは金属だが、レンズの光学系の鏡筒についているヘリコイドはエンジニアプラスチック製で、しかも溝の間隔が粗くなっている(相手側3条にこちら側1条と言う感じ)。

 せっかく外れたので(笑)、このまま組み直すのも芸がないと、グリスアップしてみることにした。

【Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dのグリスアップ】

Ai AF Nikkor 50mm F1.4D鏡筒

 以前Ai AF Nikkor 50mmF1.4Dのインプレでも書いたが、AFニッコールは初期のスカスカのヘリコイドに比べると抵抗もあって随分改善されているのだが、微妙なピント合わせにはまだまだなところもあり、 また使い込んでくると鏡筒にガタつきがでてきたりする。

そこで、分解されたAi AF Nikkor 50mm F1.4Dのヘリコイドを見ると、グリスの塗ってあるところと塗ってないところがあり、塗ってあるところも薄めだった。 どうやら、本来ヘリコイドにグリスを全面的に塗るべきところを、全く塗らないでいると初期のAFニッコールのようにスカスカになってしまい、MFレンズのようにきちんとグリスを入れるとヘリコイドが重たくなってしまって、AF駆動に問題が出てくるので、 その中間をとって少しだけグリスを塗ってあるのが現在のAFニッコールのようだ。塗ってある溝と塗ってない溝があるのは、レンズブロック側のヘリコイドのピッチが粗いため、溝が噛み合ってないところにはグリスを塗っていないからのようだ。

 AFニッコールのピント合わせがしにくいのは、ピントリングの回し始めの摩擦(静止摩擦)が大きいところにあるようだ。 そこで、綿棒の先にほんのちょっとだけグリスを塗り、ヘリコイドに入れてみることにした。 グリスは、熱でゆるくなるようなものだと不都合なので、手元にあった耐熱のモリブデングリスをほんのちょっとだけ使用した。

 すると、MFニッコールのように回転し始めから滑らかに回り、微妙なピント合わせもできるようになった。 気になっていた鏡筒のがたつきも解消している。

 ところが、いったん回転しだしてからの摩擦(運動摩擦)は、グリスアップした方がする前よりも大きくなっているので、AF駆動が少し遅くなり、ボディも少し苦しそうである。 しかし、1週間くらいマニュアルフォーカスで使っているうちに、ピントリングも少し軽くなり、AFでも問題なくなった。 もう少しやわらかいグリスを使えばさらにAFとMFの両立を図れるのかもしれない。

【Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dの組み立て】

 ぽろりと取れた鏡筒は、光学系全体のブロックなので、これをさらに分解したりしなければ、ヘリコイドを組みなおすだけできちんと元通りになる。 ヘリコイドは直進ヘリコイドなのでレンズ光学系側の爪とピントリング側のガイドが噛み合うようにヘリコイドを組み合わせて、ピントリングを無限遠側に回していくと鏡筒が納まっていく。 このとき注意するのは、絞り連動レバーと鏡筒側の絞りレバーがきちんとはまっていること。自分の場合はレンズマウント側の黒いカバーを外して細い針金で両者を噛み合わせる必要があった。 この部分がうまく噛み合わないと、鏡筒は無限遠まで回らない(レバーがあたってしまう)し、絞りも制御できなくなる。 ガイドと絞りレバーの連携だけ注意すればあとはねじ込むだけ。

 ヘリコイドは、通常細かいピッチなので外すと正規の位置がわからなくなってしまうのだが、このAi AF Nikkor 50mm F1.4Dの場合は、 レンズユニットの方のヘリコイドがエンジニアプラスチック製でピッチが粗いため、ひとつずれると大きくずれるので、はめ込み位置はわかりやすいと思う。

【Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dの距離指標調整】

 鏡筒がうまくヘリコイドに納まったら、あとは距離指標を調整するだけ。 きちんと精度のでたカメラのファインダーでマグニファイヤーを使い、高いところに登って、遠いところにあるもの(遠くの山の稜線とか)にピントを合わせて、その位置で距離指標の無限遠突き当てにあわせてセロテープで固定した。 あとはラバーのリングをはめて、完了。 このレンズはDタイプであることから、距離エンコーダーとの関係が問題になりそうだが、距離エンコーダーは距離指標のリングと連動していて、光学系の鏡筒とは直接関係してないようだった。

【まとめ】

 AFニッコールもうまくグリスを入れればMFニッコールのようなピントリングの感触にできることがわかった。ただし、AF駆動には問題がでる場合もある。 また、Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dのように全群直進繰り出し式のレンズは簡単に元に戻せたが、近距離補正式とかIFとか前玉回転式とか他のレンズでもうまくいくのかはわからない。 いずれにしても、よいこはまねをしないようにしましょう(笑)。 こういう自分で分解してしまったレンズを、オーバーホールしないままこっそり中古屋さんやオークションに流してしまったりしないように(笑)。 あくまで自己使用の自己責任でお願いしますね。

このページは分解を勧めるものではありません。マネをされても当方は責任を持ちません。分解なさる方は自己責任でお願いします。特にレンズブロック(光学系)を分解してしまうと、素人では元の性能を取り戻すのは難しいので止めた方がいいです。

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