撮影マナー考Last update 29/07/2002 【撮影者のマナーについて】先日、ある市の阿波踊りの撮影に行って来た。そこで私が撮影していると70歳代の京セラコンタックス のカメラを下げた男性が踊りの進路に立ちはだかって夫婦で撮影をはじめた。 しばらくすると今度は堂々と進路に出て撮影をはじめるので私は「前に出るな」と注意して顔写真をアップで撮った。 あとで関係者に聞くと地元の写友会の大御所だという。 関係者に迷惑がかかるといけないと思い、「先ほどは失礼しました」といってこちらから声をかけてみた。 私は、写真を撮っているからといって一般の観客よりも優先するいわれはないこと、 かりに前に出ることを容認するにしても、1枚撮ったら立ち尽くさずすぐに退避することがマナーだと言った。 「大御所」は「前に出ないといい写真が撮れないぞ」と先輩面して言う。 私が問題にしているのは、撮影者は何ゆえに一般者よりも優先権があるのかということだ。 言い換えると、いい写真を撮るためなら何をしてもいいのかを問題にしているのだ。 それを言うと、その問題そのものには答えられず、報道写真は前に出ないといい写真が撮れないとか、 前に出ないと戦場写真は撮れないとか、海上自衛隊の連の写真を撮って送ってあげているのだが前に出て撮らないと 迫力がなくて自衛隊員が満足しないとか、理由にならない理由をあげるのだった。 まるで暴走族が暴走行為を咎められたら「爆音鳴らして走らないと迫力ないじゃん」と言っているのと全く同じなのである。 一介のアマチュア写真愛好家が阿波踊りの会場で報道写真の心構えや戦場写真の心構えについて語るのもお笑いだが、 この「大御所」、長年写真をやっていてこのような注意をされたことがないようなのである。 皆がこの「大御所」と同じ行動をとったらどうなるかなど考えたこともないらしい。 あげくには「君のようなポリシーを持つものは風景か接写をやればいい」とまでアドバイスしてくれる始末。 風景や接写のマナーはこうしたイベントや祭りよりももっと悪い。 上高地に行ったら、立ち入り禁止の看板の向こう側で川の中に入って三脚を立てて撮る50歳台の女性集団がいたし、 道から外れて三脚を立てて野草を踏みながらニリンソウを撮影している年配者はどこにでもいた。 紅葉のころ横浜の三渓園では、やはり柵の中に入って三脚をたててなにやら撮っている年配者がいた。 これらの輩に共通しているのは50歳代以上の年齢で、いい写真を撮るためなら何をしてもいいと思っていること、 規範に直面していないこと(悪いことをしているという認識がないこと)である。 不思議と40歳代以下でこのようなことをしている人はみたことがない。 ある年齢層以上の日本人には常識や恥といった概念が欠落しているのだろうか。 それとも写真自体が高齢者の趣味で、高齢者の割合が多いので目に付くだけなのだろうか。 写真撮影者に対する一般のイメージは悪い。盗撮・パパラッチ・変質者のイメージが強くある。 この「大御所」は自分はこれらの下衆野郎とは違うと思っているのだろうが、社会の常識を守れないという点では同列なのである。 こうした人物が大手を振って写真をやっていることが撮影者のイメージを低下させていると思う。 おまけにこの「大御所」はこの市の写真コンテストの審査委員までやっているそうな。 まず、審査委員自身の人格テストからやったほうがいいのではないか。 こうした高齢層の写真愛好家が死滅しないとマナーの向上は望めないのだろうか。 それとも次々とマナーの悪い高齢の撮影者が新規参入してくるのだろうか。 来年は祭りそのものよりもマナーの悪い撮影者にテーマを絞ろうかとも思う。 ちなみにこの市は米軍基地(海上自衛隊と共用)の騒音に悩まされている市である。 海上自衛隊の合憲性はここでは問わないにしても、このような深刻な騒音被害が起きている市で 海上自衛隊と仲良くしているという感性もさすがは「大御所」と思わせるものだ。
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